EDIT
虎ノ門駅と内幸町駅のちょうど中間。ビルが建ち並ぶオフィス街の一角に、1階にワインバーが顔となっている趣のあるこの建物を発見した。
この建物が募集をしているのは、現在2区画。2F部分と、3、4、5Fのメゾネット区画だ。
建物は、ワインバーの脇にある赤い扉を開き、少々急な階段を昇る。左手にある重めの扉を開くと、そこからが2Fのエントランスになっている。空間の色合いは、黒と白がベース。単調になりがちな色の組み合わせではあるが、天井と壁の一部がスケルトンになっていることによって、むきだしになった躯体の素材感が味気ない空間を飾っていて楽しさを与える。訪れた人が最初に目にするフロアとして、好印象を与えるセンスよくまとまった空間だと感じた。
インパクトを受けるのは、その上のメゾネット区画。表情の違う、各フロアは古い建物の特性を良く理解し、それぞれ印象的な空間に仕上げられていた。3Fの素材感を剥き出しにした壁面は、アクセントウォールというより、むしろアートともいえる程。4Fでは、天井から下げられた大きな和紙の照明がオリエンタルなムードを漂わせる。床も、漆黒とフローリングが切り替わったデザインで、オフィスというよりも、ショールームの中にいる感覚がするかもしれない。更にその上の階は、全体に赤い絨毯が敷かれており、ルーフバルコニーもついている。
空間はとてもニュートラルでもある。お気に入りの家具を入れ、床や壁の素材感を当たり前のものとせず、ふとした時に、そこに経年を感じられるような過ごし方をしてみてはどうだろうか。きっとピカピカのビル以上に、愛着のわく建物となるだろう。
EDITOR’S EYE
3フロアとも、使い勝手は悪くない間取りをしている。立地も申し分ない。ただ、この手の物件は、そういった使い勝手だけでなく、建物との相性や、ここにいる自分をイメージできるかが大切だろう。少し癖のある空間ではあるが、ある意味すごく素直でもある。そんなこの建物と付き合っていきたいと思えたら、時期に40歳を迎えるこの建物もきっと喜んでくれるだろう。