EDIT
新しく移転してきた原宿警察署を背に、トコトコと神宮三丁目の交差点を目指していると、見逃しがちな黄色い扉が置いてある。存在しているというより、まさに置いてあるといった言葉が当てはまる気がするほど、何気ない扉。ちょっとした倉庫かなと思い扉を開けると、そんな期待を大きく裏切る、地下空間が広がっていた。
すべてが、ありのまま。エントランスというべき、エントランスもなく、空間への入口の扉は、長年利用してきた年季が入っている。そんな古びた扉でも、周辺にちりばめられたタイルとのバランスがよく、「このままでいい。」と思わせるから可愛くも思える。
そんな扉を開けて、いざ地下へ入ってみると、見上げるほどの空間が広がっていた。仕様はスケルトン。元写真スタジオの名残りもあって、トイレの上部には暗室が壊されずに残っている。ただし、暗室へのアクセスの階段は取り払われているので注意してください。
この空間にいると、なぜか中二階を作りたくなるワクワク感が自然と起こるから不思議だ。普段の生活ではなかなか出会うことのない立体的な空間というのは、その活用方法をイメージさせてくれる。オフィスなどの空間を探す場合、面積にしかなかなか目が行かないが、本当は立体的な目線も重要だろう。
だからこの物件は、そんな期待に応えられる希少な物件。同じ面積でも、その空間の活用方法を考えて、クリエイティブに働きたいものだ。
EDITOR’S EYE
地下空間ということで、利用用途や、業種に制限が出てしまうかもしれません。ただ、なかなかない空間なので、少しだけイメージしてみる。
天井も含め真っ白な空間に雰囲気のでる照明を設置する。造作はすべて木製で仕上げて、背の高い棚を作ってみるのも格好いいかもしれない。高い位置の本棚を利用するために、はしごや、階段をつけてみる。
こうやって、一つ一つイメージを追加していくと、地下だからという理由も薄れてくる。マイナスの要素と思っていたこの地下空間をとっておきの空間に仕上げるのは、きっとイメージすることからスタートする。
そうやって出来上がった空間はきっとあなたの望む働き方を実現できる空間となるでしょう。