EDIT
住所は神宮前5丁目。骨董通りと青山通りの交差点から、キャットストリートの方に向かい小道に入る。アパレルの店舗や古くからの飲食店、最近で北ばかりの建物に、洒落たカフェなどが点在するエリア。青山通りを背にしばらく進むと、そんな雰囲気も薄れ、落ち着いた裏通り的な環境となる。キャットストリートへの抜け道のため、行き交う人も、このエリアを知り尽くし、熟れたおしゃれな人が多い。そんな表参道エリアとも、明治神宮エリアとも判断がつきにくい落ち着いた場所に、この空間はあった。
1階はおしゃれな美容室。その脇を潜り地下へ進む。
募集区画は、両端に纏まった空間があり、空間の中央部に水回りと2つの空間を結ぶ廊下がある。片方は窓無しの部屋。もう片方は、広めのテラスに面し、昼間ならある程度の採光も確保できる空間だ。吐き出しの窓が一面にあるため、こちらの部屋に閉鎖感は感じない。テラスには地上からダイレクトにアプローチできる階段も設置されているため、メインの動線としてここを利用するのもいいだろう。現在オフィス仕様とされている状態では、ピンとくる方も多くはないかもしれない。でも、天井を撤去する事で、400mm程度天井が高くなり、照明の変更、床仕上げの変更で、ガラッと雰囲気を変える事も出来る。
一方は開口部がないため、多少の音も吸収してくれるだろう。また、ギャラリーの様な用途であれば、整った綺麗なかたちをしているため、空間の作り方次第では、空気が張りつめた様な凛とした空間にも仕上げられる。もう一方の開口部を備えた空間は、比較的大きめのキッチンを備えているため、カジュアルなオフィスとしても良し、ラウンジのように人が集まるスペースとしても良いだろう。
この物件の場所の見方を変えると、表参道と明治神宮前の間のちょっと躱したエリアに位置しつつ、どちらにも属せずとも、街の雰囲気は気の向くままに楽しむ事が出来るという贅沢な場所。その一見分かりづらいポジションと、地下という条件が、このエリアでは比較的リーズナブルな条件にて借りる事が出来る。綺麗なかたちの空間、限定された開口部、そういった空間の制限をうまく利用して、トコトン空間を作り込んでみてはいかがだろうか。外とシャットアウトされた空間だから作り込める空間にて、人知れずこのエリアを楽しんでみるのも面白いかもしれない。
EDITOR’S EYE
物件自体は、アパレルなどの展示スペースと、ワークスペースを分けたい業種にはかなりしっくり来る空間にも思える。元々住宅だったという事で維持されている、広めのキッチン、浴室等を、うまく働く時間に組み込んで、オリジナルな働き方を編み出してみてほしい。