洗足池オフィス・店舗 | リーズナブルな1棟貸し古ビル
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>>LOCATION
最寄りは東急池上線の洗足池駅。tokyo workspaceではあまり馴染みのない立地だが、渋谷からも25分ほどで、駅名となった広大な洗足池をランドマークに、住宅街が広がるこのエリア。働く、というよりは、住む、がメインの印象で、今でもポツポツと昔ながらの商店や魚屋さんなどが軒を並べていて、懐かしさもあり、ホッとする街並みが魅力だ。そんな洗足池駅からは、わずか数分ほどの近しい場所に、この建物は穏やかな顔をして立っていた。
>>SPACE
今年でちょうど60歳という還暦を迎える1棟建物。それを機に直近でリニューアル工事を施され、見た目は若返えりつつも、これまで積み重ねた経験の深みというか、ベテラン感も兼ね備えた、いい味の出ている建物だ。
その内部もまた、多様な表情を秘めていて面白い。建物全体を簡単に説明すると、1Fは、謎のステージ?が付いたスケルトン空間と、オフィス仕様の部屋。それに昭和感溢れるレトロなエントランス回り。2Fはワンフロア真っさらなざっくりとしたスケルトン。3Fは逆に、細かく区切られた個室だらけの空間だ。更には、その上には気持ちいいぐらいに開けた屋上や眺望、そして地下には広々とした駐車スペースという構成だ。
これらの内装は全て前の利用者の名残りもあり、スケルトンとも言い切れない表現のしづらい状況だが、それぞれのフロアにキャラクター性もあって、これはこれで面白い。スケルトン天井の部屋はそれぞれ3.3Mほどと高く、天井の古い杉板打ちのコンクリートがなかなか渋くてたまらない。また、何気なく取り付けられている階段や壁の表情もレトロで可愛いなど、正直ポテンシャルしか感じない1棟建物だった。
>>HOW TO USE
よく映画やドラマで、主人公すら食ってしまいそうな脇役がいると思う。この建物はまさにそんなイメージ。空間の素地(実力)は良好で、多様な役柄をうまく受け入れ、想像力豊かにそれを表現できるだけの、空間のポテンシャルや使い勝手の良さがある。時にはコミカルな演技も。時にはドスの効いた演技も。そんなカメレオン俳優のような多彩な実力はあるのに、あえて渋谷区や港区のようなメインエリアに躍り出るのではなく、少し離れて全体の物語を見渡し、その引き立て役としてうまく立ち回る、名脇役なポジション。だからこそ、この場所、この建物ならどのような役に落とし込んだら面白いだろう。そうやって様々な角度からこの建物を舐め回す事ができ、多様なアプローチから面白い使い方が創造できるんじゃないか。
もちろん現実的にはエアコンもないスケルトンのような状態なので、大いに手間もコストも重くのしかかるだろう。決して一筋縄では行かない建物だが、それ以上に面白みと利用方法の多様性、圧倒的にリーズナブルな賃料面を考えると、この建物に重要な一役を与えてみる価値は十分あるだろう。この役をやらしたら右に出るものはいない。そんな名脇役、なんなら主役を食ってやるぐらいの名演技をこの建物で表現して頂きたい。
EDITOR’S EYE
実際にこの建物を見ていただけば感じて頂けると思うが、建物の持つ雰囲気があり、間取りもシンプルで何様にも使えそうで、元々の素地の高さに強く惹かれる。この離れた地にあることが勿体無いぐらいの逸材だが、逆にそれがよくもあり、あえてこの場所まで行く価値があると思わせてくれるような建物だ。ちなみに、こんな昭和な事務所の身なりして、登記簿上は元旅館になっているようだ。より謎深き建物だ。