麻布十番店舗・オフィス|視認性ある路面メゾネット空間
EDIT
>>LOCATION
老舗と新しいお店が共存した雰囲気の良い商店街のパティオ通り。その先には、緩やかな坂道に合わせた階段状の多目的広場であるパティオ十番。階段に腰をかけてコーヒーを啜る人もいれば、談笑をする人もいて穏やかな空気が流れている。今回はその手前を左に折れて、網代通りへ。子供たちの無邪気なはしゃぎ声が聞こえる網代公園を過ぎたころ、“くる者拒まず”といった表情を見せる建物を見つけた。
>>SPACE
建物前面はガラス5枚の引き込み扉で、通りから中の様子を覗きこんでいたら、いつの間にか中に足を踏み入れていそうなくらい、社交性を感じる建物。今回の募集は1F-2Fのメゾネットで、内装は前入居者であるカフェ&ギャラリーの居抜き仕様だ。1Fは素地の良いモルタル床を活かした、グレーと木調の空間。その大きな開口部から入ってきた人を、優しく暖かく迎え入れてくれそうな印象を受ける。しかし、2Fは対照的。まず、窓にフィルムが貼られているため、陽の光は一切入らなく、照明があって初めて成り立つ空間。内装は白を基調とし、シャープでスッキリとした雰囲気だけど、閉鎖的なこの空間はどこか冷たさを感じてしまう。例えるならば、社交的な人と内向的な人のようだった。真逆の性質を持った2フロアだけど、だからこそこの空間の使い方の幅はかなり大きいと感じた。
>>HOW TO USE
この空間を見て思ったのは、趣味や性格が一致しないのに、なんだかんだ良い関係性を築いているカップルのように思えた。性格が違うからこそ、自分ひとりでは知ることができなかった新しい世界が見えてきたりもする。そんな自分には持ってない何かに、互いは惹かれ合っているのだと思う。そう考えると、1Fと2Fで真逆なタイプで少しとっつきにくそうな関係でも、じわじわとお互いの魅力を感じられるのではないか。例えば、本業とは別で新しくカフェを経営し、2Fに事務所を移転?社交的な性格の1Fを活かして店舗兼ショールーム?2フロア足並み揃えるかのようにガッツリ内装に手を入れてオフィス?
ほら、今まで思いも考えもしなかった新しいアイディアが、どんどん膨らんできそうじゃないか。
EDITOR’S EYE
前入居者は1Fをカフェ、2Fをギャラリーと“どうして付き合った?”聞きたくなる組み合わせ。居抜きなので、もちろん内装の好みがハマればすぐに営業はできる。しかし、個人的にはこれを超えるナイスなカップルを見てみたい。