神山町オフィス|奥渋エリアのテラス付1F路面区画
EDIT
>>LOCATION
近年は人気のエリアとして定着した奥渋エリア。そこには、緑の多い代々木公園エリアの穏やかな雰囲気と相性の良い、雰囲気の良いショップやカフェなどが点在していることが大きいだろう。人気のコーヒーショップ「FUGLEN」や最近ではTRUNK(HOTEL)YOYOGI PARKなどもオープンし、話題を呼んでいる。そんな奥渋エリアに古くからあるNHK放送センター西門前から、神山町の遊歩道へ向かう道の途中に、弧を描いた様なバルコニーがついたこの建物を見つけた。
>>SPACE
専有部だけでなく、外観や共用部も含め1棟丸ごとリニューアルをして生まれ変わったビル。今回ご紹介の区画は、その顔とも言える1Fの路面区画だ。室内は、道路面を一面ガラス張りとして、奥へ向かって真っ直ぐに伸びる、潔いくらいスッキリとした空間。天井高が3.1mほどあり、床も壁も天井もモルタルやコンクリートといった無機質な質感になっていることが、スッキリとした印象をより強調している様にも思えた。さらには、区画の前のテラススペースも専有利用可能。カフェなどであればテラス席を設けたり、植栽などで彩った雰囲気の良い世界観作りにも一役買ってくれそうなスペースまで備えていた。
そんな中、なんでここに?と思ってしまう様な、中央あたりにさりげなくある1段の段差。ちょっとした高さの違いから、什器を置く際にもひと工夫が必要になるが、柱や梁と合わせて、区画の前と後ろをやんわりと切り分ける様な使い方もできたりと、シンプルな長方形の形状の空間に変化が生まれる様にも思える。シンプルな使い勝手の良さに対して、より深くこの場所を楽しむために、一捻り加えられた様な空間だった。
>>HOW TO USE
人気の奥渋エリアにあって、リノベーションされ雰囲気良く出来上がったこの空間。空間の形状も、内装の仕上がりも通常考えれば、間違いなく良物件と思うだろう。しかし、あまりにも綺麗に整いすぎていることで、どこかサラッと流れてしまう様な気もした。エリア的にも、個性的でありながら、拘りがある、そんなある種自分を貫いている様なショップや企業も多い奥渋エリア。ここでは、ちょっとしたズレを感じられるくらいの方が、「らしく」いられるかもしれない。それならば、この一段の段差をうまく活用して違和感を演出してみてはいかがだろうか。
単純にこの段差で間仕切ってしまうなどではなく、段差そのものが主役となる様な使い方がいいだろう。もっと高低差を出し、段差をステージの様な見え方にして、道ゆく観客に見せつけるように働いてみたり、段差の手前側を全部、外の延長の様な緑溢れるアウトドア空間にしても良い。
ちょっとした違和感があるかないかによって、相手の気になり具合に大きく差が出てくるだろう。誰かに気になられる様な存在感の出し方を自然と身につけ、その存在感を活かすことで、一段飛ばしで駆け上がっていく。そんな勢いが得られる空間になってくれる気がした。
EDITOR’S EYE
意外にも近くで働く人々がよく目の前を通ったり、車も抜け道として利用することが多い場所。人目につきやすいが故に、気になったら止まらない、そんな場所を目指してみてはいかがだろうか。