牛込原町SOHO|天高5.5mの吹抜けありデザイナーズ1棟ビル
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>>LOCATION
新宿と飯田橋の中間地点にある牛込原町。江戸時代には武家地や寺社地として下町情緒のある場所だったこともあり、古い民家や印刷所などがその名残として散見されるエリア。駅前の大久保通りには高層マンションなども立ち並ぶが、そこから一本裏通りに入るだけで、寺社も多く、緑も感じられる様な対比も面白い。そんな裏通りの住宅街に、近隣の民家とは少々浮いた存在にも思えるこの建物を見つけた。
>>SPACE
2022年に竣工した築浅のデザイナーズビル。コンパクトな敷地に立つ5F建のペンシルビルではあるが、その室内は意外性の連続する空間になっていた。
まずはこの建物のメインとも言える1F区画。敢えて少し地中に下がったようなポジショニングが生み出す、約5.5mという高さの2Fまでの吹抜け。そして、その傍にある道路へ向けての2フロア分のガラス面によって、1F区画でありながら明るく開放感も感じられ、世界観はリッチなラウンジそのもの。2Fは吹抜けを見下ろすことができる作業スペースだけでなく、階段室の一部も利用した個別席なども備えていたりと、コンパクトな空間を余すことなく利用することもできる。そして、3Fはこの建物の中でも少々特殊。利用中だったため写真はないが、バスルームや収納などもある居住可能なスペースとして、この建物内で唯一独立したセキュリティのある空間になっている。さらに、4Fにはダイニングキッチン、5Fは抜けた眺望も楽しめる窓際のデスクスペースとフロアごとに個性の感じられる構成もあり、フロアを上がっていく度に次はどんな空間が待っているかとワクワクさせられた。
>>HOW TO USE
各フロア内で数段ずつ高さをずらしていたりと、上下階にも繋がりを感じられる様に立体性を持たせたこの物件。そんなズレから生み出される空間形状によって、目線の違いを用いた仕切りの役割を担っていたり、階段部分を座席やテーブルとする様な利用も想定されている。1つ1つの空間が比較的コンパクトであるからこそ、想像力をフルに活用して、この空間を利用することを求められるだろう。例えば、各フロアにパツパツの人数を詰め込むことはせず、比較的少数でスペースも余白を持たせて利用するのが良い。デスクに座って仕事をしても良いし、1Fのソファや5Fの階段部分に寝そべったりと、それぞれのスタッフの好きなフロアで、柔軟なスタイルで仕事に取り組む。それくらいの気構えで働くことで、自由なアイディアも生まれやすいかもしれない。
そんな風にスペースにも気持ちにも余裕を持って仕事に取り組めれば、自然とイマジネーションも鍛えられ、より良いクリエイションを生み出す、そんな場所になっていく気がした。
EDITOR’S EYE
実はよくよく見ると、コンクリート造にも関わらず、ファサードには木目や刻印なども見受けられる。この外観を作る際に、現場で1枚1枚木材を焼き、押し固めることでこの特徴的な外壁を作っていったとのこと。実際に現地に行ったら、細部までじっくり見てみて頂きたい。