虎ノ門オフィス | 1棟リニューアルビル
EDIT
>>LOCATION
近年再開発ラッシュが続く虎ノ門周辺。2014年の虎ノ門ヒルズを皮切りに、駅や他の商業施設も完成していき、今後数年のうちに広大な敷地を有する虎ノ門・麻布台プロジェクトも完成予定。街を歩けば至る所で工事が行われていて、少々騒がしいが、進化を遂げようとする勢いを肌で感じられるエリアだ。そんな、大注目な界隈の中心地にある桜田通り。その通り沿いに、この街の変化を約50年もの間見守りつつも、リノベーションによって新しい姿へと生まれ変わったこの建物はあった。
>>SPACE
リノベーションを担当したのは、この手のリニューアルに定評のあるopen-A社。外装は無駄な装飾を削ぎ落とし、フェンスのような素材でバルコニー部分を囲っただけの仕上げだが、それが個性的な姿になっていて面白い見た目だ。 その室内も、古いコンクリートの素地を現しとしたセミスケルトン仕様で、シンプルながら、今どきのデザイン感度の高い空間となっている。古い建物のわりに、天井高は3.3M。大きな窓面からは光も十分入るし、街路樹の緑が気持ちよく映えていて居心地もなかなかgoodだ。6Fから下の階には耐震補強として、ごつい鉄骨のブレースが室内の存在感を圧倒しているが、これはこれで空間のいいクセでもあり、個人的には結構好き。セットアップされたセミスケルトン空間なので、あとは家具を持ち込むだけですぐ使える手軽さがあるし、少し物足りなければ、この味ある空間をより引き立たせつつ、色を付け加えるようなアレンジを行っても良いと思う。ワンフロアが手頃サイズなので、その小回りの良さをうまく使いこなせたら、利用の仕方も夢が広がりそうだ。
>>HOW TO USE
大規模な新陳代謝が行われているこのエリアの流れなら、すぐに建て替えられてもおかしくはない築年数の経ったこの建物。しかし、そんな周辺の流れには同調せず、むしろ「うちはうちだから。」と言わんばかりに1棟フルリノベーションを選択し、これからも長く大事に使っていこうという意思をこの建物からは強く感じられる。
もちろん、虎ノ門ヒルズのような現代ビルもいいと思う。綺麗だし、全てが揃っているし、ステータス性も抜群で間違いない。そんな大型ビルにはどう頑張っても勝りはしないこの古ビルだが、これはこれで古さゆえの良さがあって、経年を経た建物にしか出せないような深みのある色気や雰囲気がたまらなく可愛らしい。
これは作ろうと思っても簡単に作れるものではなく、この建物が長年かけて培った深みや愛嬌の良さと、それをうまくデザインへ落とし込んだ今回のリノベの賜物であり、”よそ“の最新ビルにはない、この建物なりの“うちはうち”の良さを感じさせられた。
EDITOR’S EYE
建物の後方部に立つ建物は、今後建て替えの計画があるようなので、一時的に工事などで騒がしくなるかもしれないのでご注意を。1Fにどのようなテナントが入るかによって、建物のイメージを左右するので、いいテナントさんが入る事を切に願っている。ちなみに以前はスターバックスが入っていたようだ。