恵比寿南ショップ・オフィス｜経年の色気ある居抜き空間

>>LOCATION
恵比寿駅からも程近い、駒沢通りの恵比寿南交差点をアメリカ橋方面へ。駅前から少し離れた穏やかさと、道中にある並木の雰囲気が心地よく、緩目の坂道ではありながらも個人的には歩くことを苦にさせないエリアだと思う。古い工場を改装したメゾンマルジェラをはじめとして、アンティーク雑貨や輸入家具など、独自の味わいと個性を感じさせるショップも多く、お洒落人の御用達ともいえるこの通り。今回の建物はそんな通りの中でも、決して派手さはないながらも、なんとも香ばしい香りを存分に放っていた。

>>SPACE
築年数は約55年。外観からもそれなりに古さは感じるが、外壁に貼られたタイルの色合いと白い壁のコントラストの愛らしさに、前を通る度に気になっていたこの建物。経年の割には綺麗に整えられているエントランスを抜け、レトロな階段を登る際のワクワク感はかなり高め。味気のない鉄扉を開いてみれば、隠されていた木製のガラス扉と目の前に飛び込んでくる格子の窓に一瞬でオチてしまった。外からみても中から見ても、この空間の最大のチャームポイントでもあるこの窓。北向きということもあって、差し込むクリアで柔和な光は、日々爽やかな出迎えにはうってつけだろう。
コの字型になった室内は、クリーニング前の状態ということもあり汚れや傷みが残るが、白塗装された天井・壁面と落ち着いたフロアタイルのモノトーン調で、天井には照明レールのみというとてもシンプルで好感が持てる。古い建物ということもあり天井こそ高くないものの、この空間の魅力はそんなものでは色あせず、なんともいえない経年からくる色気に満ちていた。

>>HOW TO USE
賃料単価は立地もありそれなりなので、ショールームやプレスルームなどとして活用するのが相性が良さそうだが、この空間を贅沢にオフィス利用することを考えるなら、全体の色味の調和も含めセンスの見せ所だろう。並べると意外に存在感のあるデスクは敢えてシンプルにして、緑や落ち着いた木調家具で色味を整える。現状の壁面を活かしてアンティークな時計やアートをアクセントにするなど、ガラッと内装を変更するというよりは、この色気ある雰囲気を磨き上げ、時間の流れの緩やかさを味わう様な空間にしてみて欲しい。
ただ単に古さから来るレトロさでも、味わいの強いヴィンテージでもない、古さが品良く磨かれた様なアンティークさの漂うこの空間。直近のマーケットの中では掘り出し物と言える類のものでもあり、この空間に出会い頭で恋に落ちてしまったとしても、もうそれは仕方のないことだと思う。

古さから来る経年の色気が、ここまで魅力的に変化した物件は久しぶり。写真は前回募集時のものだが、現入居者によるテコ入れもあり、さらに魅力は増しているのではないだろうか。兎にも角にも、善は急げだ。