南青山店舗・オフィス|1Fメゾネット&スケルトン空間
EDIT
>>LOCATION
オリンピックの開催が近づき、俄に慌ただしさを増してきた外苑前エリア。時の祭典の中心地点とも言える新国立競技場を背にして、青山通りと外苑西通りの交差点を西麻布方面へと1,2分ほど歩を進めると、まるで3兄弟の様に仲良く肩を並べて立っている3棟横並びになったレトロな建物が現れる。古くからこの地を守り続けている様な、そんな威厳ある面持ちで立つこの物件をご紹介する。
>>SPACE
募集区画は建物1F-2Fのメゾネット区画。室内は、前入居者が退去したままの状態のスケルトン空間。半世紀に渡ってこの地に立ち、何組もの入居者が出入りしたその歴史を表すかのように、室内の壁には様々な色や材質を見て取れる。1Fに関しては、半地下でやや薄暗さを感じるスペースではあるが、横長の空間の中に赤や黄色、緑に塗装された壁が残され、いつの時代かは陽気な飲食店が入っていたのかなどという想像を巡らせる。そして何故か、本来RC造には登場する予定のない鉄骨がむき出しのまま天井を支えていたりと、過去の歴史を全て紐解くには少々ミステリーが複雑に感じた。
1Fの一番奥にある少々横幅狭めの内部階段から2Fへと上がると、建物裏側の路地から光が差し込んでいて意外な明るさを感じられる。2Fに関しても、《牡蠣処》という文字が残された壁に、天井部分のパイプが緑色に塗装されているなど、テイストはかなりのMIXスタイル。1F,2Fともに使われてきたルーツがあちこちに垣間見えるため、そういった意味では、時代、または歴史の“居抜き”感があり、そんな面白さを感じるような空間だった。
>> HOW TO USE
中々ハードな状態での引渡しとなるため、費用も時間も労力もそれなりにかかり、一筋縄ではいかない物件と言えるだろう。もちろん、予算があれば全てをやりかえても良い。しかし、半世紀という時間をかけて積み重ねてきた歴史が感じられる空間だからこそ、なんだかちょっと気になってしまう存在でもあるため、できれば敢えて一部、この空間のルーツを残しながら、空間を仕上げてみるのも面白いのではないだろうか。空間から滲み出る時代を汲み取りながら、この空間を楽しむ。
まっさらな空間に改修するのがこの手の改修のセオリーではあるが、この空間の歴史や、それぞれの時代の“居抜き”感を上手く空間のデザインとできれば、かなり面白く、愛着がわく空間になる気がした。
EDITOR’S EYE
かつてこの並びの飲食店は、青山エリアで深夜営業している若者が集う人気のスポットだったという。居酒屋やバー、イタリアンなど、当時を思い出す人にとっては思い入れがある場所として、今後も受け継がれていくといいなと思った。