駒場オフィス・店舗|路面区画 スケルトン空間
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場所は駒場東大前エリア。学生街という事もあり、道ゆく人々は若者が多いこの街。そのためか、エリア内には古くからの定食屋さんや惣菜屋さんなどが今でも多く残り、ふと学生時代を思いだしてしまうような懐かしい街並みが広がっている。これが渋谷駅からわずか2駅、頑張れば歩けなくもない距離というから驚きだ。働く拠点としては弱いエリアだが、あえてこの哀愁ある街を拠点として働くのも面白そうだ。
駅からほんの2〜3分ほどの、商店や飲食店が点々と立ち並ぶ通り沿いにこの建物はある。良くも悪くも周囲には馴染んでいない近代的なデザイナーズマンション。今回ご紹介するのはその建物の1F部分で、黒い重厚なスチール扉を開けると、無骨で洞穴のようなコンクリート空間が現れた。以前は学習塾として使われていたようだが、現在はその時の内装をほとんど撤去されたセミスケルトン状態。電気関係や水回り系は残されているのでだいぶコストは抑えられるが、エアコンはテナント側で設置の必要があるのである程度費用は覚悟してほしい。室内は縦長の空間で、正面のガラス面から、5段分下がった半地下の高さがこのフロアの基準レベルとなる。その分、天井も3M以上と高くなり、1方向にしか開口部のない洞穴のような薄暗い空間だが、その天井高のおかげで空間の閉鎖感などは感じさせない。また、その1方向から光が照らす作りだからこそ、正面の階段部分がなにか特別な場所に写り、ここでなにか面白い事が起こるんじゃないかと漠然とした期待を膨らませてくれた。
この空間を見ていると、ふとファッションショーの会場のようにも見えてきた。例えば一段高いランウェイのような通路を中央に作り、あえてショー会場さながらの空間演出をしたオフィスなんていうのも面白いんじゃないかと思う。日々気にも止めないようなオフィス内の移動も、その空間なら誰もが注目するような面白みのあるシーンへと変わる。また、そんな日々を過ごしていたら、みんなも自然とファッショナブルになってきたり、毎朝好きな音楽を流して、モデルさながらにド派手に登場するスタッフも現れるかもしれない。ちょっと遊びすぎかもしれないそんな発想も、一から作れるスケルトンだからこその特権。無機質なコンクリートの空間に、華やかに働くスタイルを加え、日々颯爽と過ごす。そんなシーンが似合う空間だ。
EDITOR’S EYE
建物向かいには、お昼となれば常に行列ができるような人気の定食屋さんがあり、周囲にもいくつも魅力的なお店が点在していた。渋谷からもアクセスの良い立地でありながら、周囲に比べて賃料もリーズナブルになる穴場エリアで、サラリーマンの力の源でもあるランチも十分楽しめる立地。ここは働く場所としても穴場なエリアなのかもしれない。