神宮前店舗・オフィス | 築浅路面店舗空間
EDIT
>>LOCATION
ケヤキの緑が気持ちよく茂る表参道から、ラルフローレンとヒルズの間にある道を奥へ入る。キャットストリートと並行して伸びていくこのストリート。Marimekko、オニツカタイガーなどのアパレル店舗や、美容系サロンなどが点々と並び、変に人通りも多くなくて落ち着いている感じがとても歩きやすい。そんな道を進むこと数分ほど。明治通りから続く原宿通りが、キャットストリートを越えて、この通りと合流する終点/始点と言えるような場所にこの建物はあった。
>>SPACE
2020年に建てられたこの建物。横並びにA・B・Cと3ユニットで構成される商業ビルで、この空間はその端っこのA棟にある。
道沿いの入り口は少し小顔で、こじんまりとした印象。しかし、その内部に踏み入れると、広々とした空間が広がっていた。天井高は4.4M。90坪ほどある大きな空間で、入った瞬間、まずはそのスケール感に圧倒すらさせられる。室内はフルスケルトンの箱という状態。無骨なコンクリート壁や太い柱が均等に並び、外の音もほぼほぼ聞こえてこない静けさに包まれた、クールな印象の空間だ。この区画、高低差のある立地に立っているため、実は1Fと見せかけてB1Fという扱いになる。そのため、入り口以外には窓という窓は一切なく、入り口は小さめなのに中は広い。言うなら獣の巣のような怪しさも備えた空間。それがまた良いキャラでもあり、なにかいい意味で秘密を秘めていそうな、興味をそそられる魅力的な一面として感じられた。
>>HOW TO USE
実は2020 年の竣工からまだ一度も使用されず、なかなかいい出逢いに恵まれてこなかったこの空間。当初は強気な賃料が大きなハードルとなっていたが、その賃料もだいぶ緩和された今では、かなり現実味が出てきたように感じる。ポジティブにいえば、今までうまく寝かせて、その時を待っていたという感じだろうか。
神宮前エリアで築浅な建物の路面区画。この4M越えという恵まれた天井高や癖のない間取りなら、さまざまな姿に化けやすいと思う。王道に美容室などもいいしだろうし、この天井高を活かして、大型の作品を展示するアートギャラリーや撮影スタジオ兼オフィスなども相性がいいだろう。スケルトンなので工事費はそれなりの覚悟は必要なものの、今のスケルトンを活かしてカジュアルに仕上げる程度でも、このダイナミックさのある空間をうまくサマになるのではないだろうか。また、個人的には間口は小さく中は広いという、内に秘めたような独特の作りも好きだ。あえて入口を狭めて、入った時の広がりやサプライズでグッと心を掴む。そんな演出も加えられそうで、より面白みを与えられるだろう。
数年の月日を経て、この空間は今が狙い目というタイミングといえるだろう。今までこの空間の存在は知りながらも目を背けていた方も、もう一度目を向けてあげて、真剣に向き合ってみてはどうだろうか?
EDITOR’S EYE
立地やサイズ感、天井高、賃料設定などを考えても、バランスは悪くないと思う。個人的には、アートギャラリーや大型のプロダクトなどを展示するようなショールーム店舗などがイメージ付くだろうか。ちなみに、本文では竣工から未使用とお伝えしたが、正確には一度借り手が見つかったものの、借主事情で使用しないまま解約になったとのこと。なので、竣工時から借り手が決まらずに残っていたわけではないので、念の為訂正しておきたい。