表参道オフィス|まい泉通り沿い1棟ビル
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>>LOCATION
表参道からAppleStoreと伊藤病院の間を進む。入口にある原二本通りという大々的な看板が主張するが、どちらかというと“まい泉通り“という名の方がよく知れ渡っているのではないだろうか。流行の店から通な店まで様々な飲食店が点在するグルメな通りとして、表参道や青山通りなどのメイン通りと引けを取らない賑わいを見せている。そんなまい泉通りの入口付近に長く店舗を構えるStarbucks。そのすぐ隣に新たにお目見えしたのは、通りに面した前面をクリアなガラスに身を包んだ、スタイリッシュな姿が目を惹くこの建物だった。
>>SPACE
地下2F、地上3F建で、200坪超という面積を確保した1棟ビル。道路面からフロア半分ほど下がった位置にあるエントランスから室内へ入ると、予想を上回るインパクトのある空間が待っていた。
まず最初に目にするのは、ジグザグと交互にフロアが重なり合う様なスキップフロアを構成する階段。エッシャーの騙し絵の様な存在感のある階段を介して、独立した最上階部分を除く4フロアは、目立ちたがりな手前側の空間と少々引っ込み思案な奥側に分かれるという複雑な造り。そして、その階段部分を貫く様な桁違いの高さの吹抜けは、バラバラになりそうな各フロアを一つにまとめる役割を担っている様にも思えた。
各フロア3m前後の天井高ではあるが、圧巻なのはエントランスから少し登ったところにあるM1F。天井高は約5mとかなり高く、この建物の中でも主役を張れるスケールを感じられる。さらに、ガラス張りの外観は、視認性の高さやスタイリッシュさもあるが、内側からは通りを行き交う人々を眺められるという、ちょっとした優越感をも感じる目線も備わっていた。表記的にはフルスケルトンの5フロアの1棟ビル。しかし、単に5フロアを積み上げただけではない、中身の濃い1棟ビルだった。
>>HOW TO USE
この空間へと入った時に、スキップフロア式の空間構成にとてもなじみ深い印象を覚えた。それは、原宿の象徴とも言えるラフォーレのフロア構成に近いスタイルを感じたから。ラフォーレが建物的にも魅力的に思えるのは、どのフロアにいても自分のいるフロア+上下のフロアも見渡せる、3倍の視認性。もしかすると、スキップフロアがなければ、ラフォーレは今ほど人気の商業施設となっていなかったかもしれないというほどの重要な構成要素と言われている。
この建物がそんなラフォーレと同じ様でいながら更に上回る点は、各フロアを繋ぐ階段部分の吹抜けの存在。スキップフロアによる連続性に加え、その吹抜けによって、1棟ビルというよりは、ある種一つの空間の様にも感じられる。店舗やショールームだけでなく、オフィスとしてもコミュニケーションの機会が増え、建物内全体での一体感を生み出してくれるだろう。
表参道駅からもすぐという立地にあるもう1つの森となり得る建物。諸条件的な厳しさはあるとしても、この建物を自分自身で、こだわり抜いて利用することができれば、それはもちろん最高だ。しかし、この空間が次の入居者によってどの様に彩られ、ラフォーレの様に表参道で様々な人に愛されていくのか、それもまた楽しみにしていたいと感じた。
EDITOR’S EYE
交互に片足ずつ飛び跳ねて歩くスキップに由来するスキップフロア。表参道にもほど近く、かつてはアパレルショップやHISと猿田彦コーヒーなどが入居していた建物を利用し、さらに自分たち好みに仕上げられたら、それこそスキップしたいくらいの気分で毎日出社してしまうかもしれない。