人形町オフィス | 1棟リノベーション済デザインビル
EDIT
>>LOCATION
場所は東京イースト。最寄りの人形町駅から3分ほどの場所にこの建物はある。古くから衣類の卸問屋などで栄えてきたこのエリア。近年では徐々にその活気は衰退しつつあるものの、残された古い店舗やオフィスビルは今どきなスタイルへとリノベーションされ、それがこの街の新たなスタンダードスタイルへと移り変わろうとしている。そしてこの建物もまた、数年前に古い表層をすべて削ぎ落とし、一新され、新たなスタートを切っていた。
>>SPACE
オフィスビルが立ち並ぶエリアの、角地に立つこの建物。三菱地所×OpenAのタッグによる古ビルを再生していく人気シリーズで、2018年にリニューアルを実施し、今どきなデザインリノベビルへと生まれ変わった。リノベと言っても、いわゆる新旧の素材を入れ替えるリニューアルではない。むしろこの建物は、古い表層を極力削ぎ落として、荒っぽい素地をそのまま表層のキャラクターとしてうまく使っている感じが面白味だ。
今回ご紹介の室内空間についても、世界観はそのまま。室内は、無駄を削ぎ落としたシンプルなスケルトン仕様の空間。壁・天井は白塗装で、床は明るめなモルタル仕上げ。天井高は3.4Mほどとかなり高く、空間を遮る壁などの間仕切りもないので、日中は窓から射し込む光を空間の奥までしっかり引き込む。特に最上階の6Fは一番明るく、全体的に清潔感すら漂っていて、入った時の印象がとてもいい空間だった。
>>HOW TO USE
この物件は、やりすぎていないところが良さだと思う。言い方を変えれば、クドくない。近年よく見られるようになったセットアップオフィスは、素材の多用やレイアウトの固定による色付けすぎ部分が強いが、この空間はある意味真逆だろう。ニュートラルなスケルトン仕様のため、レイアウトの自由度もあるし、変に色がつけられてないところにセンスの良さが際立っており、幅広い共感のしやすさもある。このまま家具や植物を並べて使ってもシンプルでカッコいいし、この空間をベースに好きなように手も加えやすい。なんならこの天井高、明るさを生かして、一部を自社のスタジオなんていう使い方もイメージができそうだ。また、その仕様が1部屋だけでなく、建物全体で統一されているのもポイント。必然的に感度の高い方々が集まり、建物全体で面白みある環境へと進化していくかもしれない。シンプルすぎず、とはいえクドさもない。ちょうどいいバランスで保たれた、センスのいい大人な温度感のある空間とも言えるのではないだろうか。
EDITOR’S EYE
建物全体的によく手が加えられて作り込まれたいい建物。賃料単価など、条件面なども含めたバランス的にも、これは十分アリだと言える物件だと思う。