神宮前オフィス |名ヴィンテージ テラス付き
EDIT
>>LOCATION
神宮前2丁目。大規模な商業施設もなく派手さはないが、ふと路地裏を覗けば物販も飲食も総じてこだわりの強いお店が多く、神宮前エリアの中でも一際玄人受けする場所に感じる。今回はそんなエリアによく似合うヴィンテージマンションで、ビラ・ビアンカを筆頭に、このエリアに群集するビラシリーズのうちの1棟。別名「栄光の館」と呼ばれる建物ではあるが、室内ももちろん、名前負けしないだけの魅力ある空間だった。
>>SPACE
築年数は約50年となるが、大切にされていることがよく伝わる整ったエントランスを抜け募集区画へ。木材を使ったレトロ感ある扉の先には、期待通りの香ばしい空間が待っていた。良い風合いに変化したフローリング敷きの室内は、建具も壁面も全て白のシンプルな状態。広いワークスペースにはフローリングと色味を合わせた書棚があり、レトロなキッチンはガラス戸でうまく目隠し済み。もちろん前テナント退去後すぐなので部分的な傷みはあるが、大きく気になる様な状態ではなかった。
どこかありふれた内装といえばそれまでなのだが、素材感や経年を経た建物にしか出せないこの色気は、大人の余裕とでも言うべきものだろうか。北向きにある個室も透明感のある光、窓先で揺れる緑がとても好ましく感じられ、建物から出た後でもしばらく良い余韻が残る様な空間だった。
>>HOW TO USE
特徴的な外観からもわかる様に、建築当時は画期的な設計だったというこの建物。約半世紀に渡って多くの人に愛されていた建物だけあって、現在でもその魅力は衰えていない。
元が住居として作られたこともあってか、事務所仕様になった現状でも、その居心地の良さは抜群。経年を重ねて色気を纏った空間だけに、角のない柔らかさがあり、不思議なほどの肌馴染みの良さがあった。コストパフォーマンスの高さもあるので、当初想定していたオフィスより少し贅沢な面積だったとしても、ジャンルを問わず創作活動のアトリエの様にして、余白を活かした使い方を考えてみて欲しい。
この物件に関しては、床の風合いや窓を開け放った時の風の抜け、太陽の位置によって変化する室内の陰影など、写真でお伝え出来ない魅力が大きい。個人的にもどかしく感じる部分もあったが、経年の味、建物のストーリー、空間に漂う色気ある空気感などは、確かにここに存在している。決して写真に映ることのないその魅力や美しさに関しては、百聞は一見に如かずとして、実際に現地にて体感して頂きたい。
EDITOR’S EYE
建物は、道路から広くセットバックする様に建築されており、シンメトリーな外観の中央にあるエントランスへと向かうアプローチは、まるでこの先にある空間への期待を煽る前奏の様に感じられた。
室内の設備に関しては若干の古さは否めないが、清潔感はしっかりと確保されているので、その点は心配ご無用だ。ワークスペース部分は前入居者の内装により、完全な間接照明のみ。デスクワークの際は少々照度が足りないかと思うので、この部分に関しては何かしら手を加える必要があるだろう。