中目黒オフィス|目黒川沿い特等席
EDIT
>>LOCATION
最寄りとなる中目黒駅から目黒方面へ徒歩十分少々。距離にすると少し長めに感じてしまうが、その道乗りの半分以上が目黒川と並走しており、シーズン毎に色合いが変化する並木を眺める通勤路は、商業地やオフィス街では中々感じることができない変化を感じる新鮮なものだろう。今回の建物は、目黒川沿いにあり、ドラマのロケ地としてしばしば目にするなかめ公園橋からすぐ。この時期ならではであるが、窓一面の鮮やかな色合いが強烈に印象深かった。
>>SPACE
のんびりと穏やかな住宅エリアにある建物。外観のガラスブロックの円柱が目印で、それさえ伝えておけば来客も迷うことはないだろう。建物地下部分に駐車場があることもあり、1F表記ではあるが路面から少し高くなったこの区画は、現状オーソドックスな事務所仕上げ。細長めの形状ではあるものの、トイレが共有部からの出入りとなるため、無駄な動線要らずで室内のレイアウトは自由自在だ。南側の窓際は、ガラスブロックの円柱脇がまるでステージの様になっており、後光の差し込むボス席?とも思ったが、緑やインテリアなどでフロア全体の緩衝地帯とする方が現実的かもしれない。反対側の目黒川に面した窓は、視線の先に一面の並木。川沿いの歩道より高くなっていることもあり、窓際に寄らない限り歩道からの視線も感じず、桜の季節は紛れもなく特等席と言える眺めだった。
>>HOW TO USE
現状の少し味気ない内装は気になるが、坪単価16,000円を切るコストパフォーマンス。同建物の上層階には、雰囲気の良いスタジオが入っていることもあって改装後のポテンシャルも中々とくれば、長く入居する前提で仕上げに拘ってみても良いのではないだろうか。カッチリ硬め仕様や、わかりやすいデザインオフィス仕様ももちろん否定はしないが、窓先で季節とともに変化する並木の色合いをメインに据えて、ラフ目な木材やインテリアで整える程度の抜け感ある仕上げであれば、よりこのオフィスの魅力を引き出すことができるはず。
窓先の景色は一年通じて緑がメインで、桜は年に一度の数日のみ。桜がこの世になかったとすればここまでソワソワすることはないだろうが、やはり日本人であるからこそ、四季を楽しみつつ待ち侘びるこの季節。流れの早い生活の中で、オフィス移転をきっかけに、ちょっと風流な視点を思い出してみるのも、いとよろし。
EDITOR’S EYE
残念ながら今年の満開時期は過ぎてしまったが、また来年のこの時期が楽しみだ。建物お隣にはコーヒースタンドもあり、気分転換にコーヒー片手に川沿いを散歩するシーンも、なんともこの場所らしい。