渋谷オフィス|1F庭付き空間
EDIT
>>LOCATION
明治通りと八幡通りを結ぶ並木橋交差点。背の高いオフィスビルが立ち並ぶ明治通り沿いではあるが、この辺りに来ると、空の面積は広がり、通りを歩きながらも気持ちの良い印象がある。大通り沿いは様々な種類の飲食店が立ち並び、ランチタイムになると近くで働く人で賑わいを見せていた。
そんな賑やかな明治通り沿いから折れて少し奥まったところに、門構えからすでに畏まった、少々厳格な印象すら漂うこの建物を見つけた。
>>SPACE
建物前の敷地にゆったりとしたスペースを確保し、大人な余裕すら漂う建物。丁寧に手入れされた植栽とレンガ調の外壁に囲まれた外観からは、ちょっとした要塞のような強固な雰囲気も感じられる。今回募集の1Fの室内は、スタンダードなオフィス仕様ということもあるからか、室内よりもその先にある景色にすぐに目がいってしまった。一面に設けられた窓と、その先にある中庭には、建物の外側を彩っていた植栽と同様に、丁寧な仕事を感じる手入れされた庭の草木。そこに敢えて深く出した軒の出が、直射日光を避ける優しい気遣いがあり、もはやそこは日本家屋の縁側と重なるようにも思えた。
現状はそれほど特別な室内の仕様ではないため、加えて室内の雰囲気も作り込めれば、なかなか他にはない満足度が高いオフィスになりそうだと感じた。
>>HOW TO USE
開口部が一方向にしかない、ある意味外に閉ざした空間であるからこそ、逆に窓先の庭が引き立てられているのだろう。その室内は仕様こそザ・スタンダードとも言えるオフィス仕様であるため、改装は必須。渋谷駅からは一直線で徒歩6分という距離感を考えれば、比較的コスパは悪くないので、賃料が少々抑えられる分、味気ないタイルカーペットや蛍光灯の照明などを変更して、より居心地の良い空間に作り上げてみてほしい。なんなら、一部に畳を敷いて和室的なスペースを設け、軒下にも寛げる縁側を再現してみるのも良さそうだ。ただし、空間を整えつつも、あまり装飾はしすぎず、一番のアクセントは庭を望む景色、それくらいの方がこの空間はより生きてくるだろう。
静けさや未完成なものを良しとする日本の伝統の美学、それが詰まった空間という風にも感じられた。室内から見える植物の成長や移り変わる季節、そんな景色を目の前に、日本的な美意識を持って静かに、そしてクリエイティブに作業に没頭してみたい。
EDITOR’S EYE
空間において自分が何を好きなのかを再認識するような物件。空間の内側だけでなく、そこから見える景色や庭という要素も個人的にはとても魅力的だ。きっとこの建物を設計した人も庭が好きだったに違いない。