南青山オフィス |1F吹き抜け付物件
EDIT
>>LOCATION
青山通りを、いちょう並木周辺で青山霊園側へ折れる。ビルとビルの隙間の細い路地を抜けると、ロードサイドの背の高い建物に守られた静かな住宅街が広がっていった。昔ながらの住宅が点在する中、比較的新しく、立派な戸建てもちらほら目立つこのエリア。たまにすれ違う人々も、「ごきげんよう」なんて言いそうな品の良さだ。
今回の物件は、そんなどことなく品の良さも漂う住宅街の中に身を潜めていた。霊園のそばという立地もあってか、辺り一帯は静かを通り越して静寂な雰囲気。自然と忍び足になりながら、今回の物件のドアをそっと開けた。
>>SPACE
募集となるのは、1FとB1Fのメゾネット区画。入り口のフロアは1Fとなり、室内の螺旋階段でB1Fへと続いていく間取りだ。ドアを開けてまず目に飛び込んでくるのは、地下階へと伸びている一面ガラス窓の吹き抜け。トータルで5.6mの高さがあるこの吹き抜けは、窓から日光を大きく取り入れ、外の植栽の緑も室内に落とし込み、この空間の表情作りを担ってくれていた。そして、そんな吹き抜けが繋ぐ2つのフロアは、艶のあるモルタルの床と真っ白な壁天井が囲む、どこまでもシンプルな内装。シンプルと言えども色々と種類があるが、この空間は温かみのあるフローリング仕様ではなく、ひんやりとしたモルタル仕様。その上、至る所にキリッとした金属素材が散らばっていることから、どこかシャンとした意思の強さのようなものが垣間見れた。でも、クールに睨みを利かせている訳ではない。前述したような吹き抜けからの柔らかい日光や、それを優しく広げる白い壁、全体的に淡いトーンの空間の色味から連想されるのは、優しい包容力。それらが組み合わさったこの空間は、言うなれば“しなやかな強さ”の持ち主だと感じた。
>>WORKSTYLE
正直この空間、一目で気持ちが高ぶる程の爆発力は持っていないが、直感的に良いとしみじみ感じることができる空間だと思う。ひたすらにシンプルで、床の仕上がりには拘り、螺旋階段の華奢なシルエットは洗練されていて美しい。間取り的にも、まとまった上下階の空間は柔軟性が高く扱いやすい印象だ。2021年の今でもそう思うのだから、竣工当時の2006年では、先進的でオシャレな存在だったのかもしれない。今でこそそのオシャレさには少し年季を感じるが、時代を超えても感じる素地の良さや使いやすさは、恐らく今後十年、二十年後も、良質な物件として人々を魅了し続けることだろう。この空間のしなやかな強さにあやかって、空間と同じく、いつの時代も良いものを生み出していく気合を仕事にぶつけてみてはどうだろうか。
EDITOR’S EYE
個人的には、2004~2006年頃の文化が好み。この時代に出来上がった建物も、少しの年季とモダンな雰囲気が組み合わさって、なんとも香ばしく感じる。一昔前の建築雑誌を切り抜いたようなこの空間に、うまく今っぽさを融合させてみて欲しい。