渋谷オフィス|リノベーション空間
EDIT
>>LOCATION
渋谷の並木橋交差点から青山方面に続く緩やかな坂。この通りの名前は、代官山から続く八幡通り。中腹に金王八幡宮が大きな鳥居とモリモリと生い茂る緑と一緒に佇み、穏やかな印象だ。その通りを少し進むと、ドラマのロケ地によく利用されているという、クラシカルな喫茶店「青山壹番館」がある。その建物が今回ご紹介する建物。一見、街路樹の3本の木に守られているかのような控えめな感じが、なんとも愛らしく思えた。
>>SPACE
現在56歳であるこの建物。エントランスから空間までのアプローチは階段のみの移動と、ちょっとした運動ができて健康的と言っておこう。全体的には、年相応な雰囲気。その中でも、共有部の階段の手すりや、床の仕上げには絶妙なレトロ感が漂い、良い味を出していた。
今回募集されている3Fの区画は、道路面と反対側の奥まった場所にある。室内も年相応?と想像しながら空間へ入るとそんな想像とは違った良い雰囲気。淡いグレーのフロアタイルと天井は白くコンクリート剥き出しと、全体的にグレートーンでまとめた清潔感すら感じさせる整った空間。そして、奥まったポジションながらも窓も多く確保されていることで、柔らかい光が空間に差し込み、どことなくピュアさすら感じる。
一方で、天井・壁・床までにある凹凸が目立つ。でも、不思議と空間から滲み出る良い印象からか、それはそれでパズルみたいで遊び心として面白く思えた。
>>HOW TO USE
最寄り駅が渋谷駅でも、決して華やかな立地とは言い難い。でも、この物件を考えた時、その立地、建物から漂う色気、空間の柔らかさを考えると、なんとも絶妙なバランスだと感じる。なので、この空間が誰かのとっておきのお気に入りの場所になることが、容易に想像がついた。
空間を仕上げるために、室内の凸凹は上手い具合に活用する。例えば、床の段差には床材に変化を付けて見えない壁のように区切り1個のスペースとして使う。壁の凸凹はいい感じで棚が作れそうなので、簡単な棚を造作するなど。そうすることにより、この凸凹はデットスペースや扱いにくさなどにはならず、この空間では、機能的でありながらもナイスなキャラクターにもなりうるだろう。
お気に入りの空間が出来上がったら、そのテリトリーを広げてみるのも得策。手始めに1Fにある老舗喫茶店「青山壹番館」の常連に。そして、そこで出会うかもしれない、同じ建物の入居者と繋がることも狙っていければ、どんどん居心地の良い場所になるはずだ。渋谷駅最寄りの穏やかなこの空間で、渋谷らしからぬ居心地の良い自分たちのテリトリーを作り上げてみてほしい。
EDITOR’S EYE
因みに床に段差がある部分は、元々バルコニーだったとのこと。それを空間にしてしまおう!とオーナーが工事を行い、このような段差が生まれたという、面白いエピソードまで用意されていた空間だった。