EDIT
>>LOCATION
かつて外苑前エリアのランドマークとして愛された青山ベルコモンズ。その交差点を背に外苑西通りを西麻布方面へ下ってすぐの三角地に、空を支えるように聳える巨大な柱が1本ある。内部にエレベーターを抱えるこの柱を垂直動線とする西洋建築を思わせるこの建物は、新国立競技場のデザインを手掛ける隈研吾氏の設計によるもの。機能と効率を優先した近代建築を批判するかたちで古典建築の意匠性をあらためて取り入れた、ポストモダン建築と呼ばれる様式だ。
>>SPACE
今回募集の区画は6F。掲載写真は前回募集時の4Fのものとなるが、今後同じ仕様へのリノベーションを予定している区画だ。室内は、木目調のフロアタイルと白い壁天井が鮮やかなコントラストを描き、両側に設けられた窓からの光が空間を明るく満たしてくれるような、そんな空間。三角地に建つ建物だけあってフロアはかなり個性的な形をしているが、120㎡のワンルームにデッドスペースはほとんど見当たらない。と言うのも、この空間にはトイレが無いのだ。機能と効率を批判したポストモダン建築らしく、トイレは地下1Fに共用設備として備えられている。7フロア分の入居者が1基のエレベーターで行き来する事実は、効率を優先する現代オフィスにおいては思い切った仕様だが、その一方で、「デキる大人の余裕をもった行動」を必ずや体得できることだろう。
>>WORKSTYLE
トイレというハードルはあるにせよ、内装にはほとんど手を加える必要はなさそうだ。エレベーター直結のフロアは少々視線が気になるが、あえてパーテーションは設けずオープンなつくりにしてみてはどうだろうか。色気のあるインテリアを揃えて、エレベーターで行き来する他の入居者の心を奪うような、魅力的な空間に仕上げて頂ければと思う。個性的な外観は竣工当時も賛否が分かれたそうだが、これまでの常識にとらわれず新たな時代を切り拓く姿勢は、企業にとっても大事なことではないだろうか。常識を意に介さないある意味ロックなこの空間で、街のコンテクストと時代の空気を嗅ぎ分け、新たな常識を生み出してみてはいかがだろうか。
EDITOR’S EYE
実は以前募集していた4Fが写真の仕様にリノベーションされた際に、EVの仕様も一新され、床壁ともに木目調の素材を用いた温かみのある仕上がりになっている。入居に際しては上下階の企業にご挨拶がてら、オフィスレイアウトの参考に見学させてもらうのも良いかもしれない。きっと常識をモノともしない斬新な空間が出迎えてくれることだろう。