EDIT
中目黒の駅から、目黒川沿いを池尻方面へ歩いていく。都内でも有数の桜の名所である。少し長めの散歩にちょうどよい約4km続く桜並木には、桜の季節ではなくても、雑貨屋やカフェ、バー、アパレルのショップなど、立ち寄ってみたくなる店が連なっている。それだけでなく、川の流れがもたらす心地よさと、街並の趣の変化を毎日感じながら働くことができるのは、ここで働く人にだけ許された特権なのではないだろうか。こんなところで働いてみたいなと素直に思える場所。この物件はまさにその川沿いにあった。
扉を開けて現れるのは、洗い晒した生地のような、無垢のフローリングと白い壁、そして同じく白に丁寧に塗られた天井。どれも「触れてみて」と言っているような気すらして、ただそこにあるだけで素敵だ。このままで良いと、素直に思えてしまう。水回りだけはそれらの風合いを損ねないような形で新しいものがつけられている。室内の内装については全て前入居者の残置物となるため、間取りが気になる場合は改装等を相談して頂きたい。しかし、この質感だけはなくさないようなオフィスを作ってほしい。表現が難しいが、オフィスも会社や組織の大切な一部である。意のままに操るというよりは、個性を受け入れて、会社とともに空間が変化していく過程を楽しみたい。作り込んで遊ぶオフィスというよりは、今のままの空間に寄り添うような気持ちで入居し、お互いを高めたり、癒したりしてくれる良きパートナーになってくれたらいいと思う。
EDITOR’S EYE
物件は中目黒と代官山の駅のほぼ中心に位置し、代官山へのアクセスもよい。オフィスの環境として、特にものをつくる仕事をしている人にとっては、インスピレーションと情報に常に触れられる環境だといえるだろう。
なお、外観は築40年と聞いて納得の佇まい。その内装とのギャップも楽しむ余裕を持って見に来て頂きたい。