広尾オフィス・ショップ｜キッチンショールーム居抜き空間

>>LOCATION
西麻布交差点から広尾方面に進み、ちょうど気持ちの良い視線の抜けを感じる外苑西通りの中程あたりにこの建物はある。細かなブロックを積み重ねたような特徴的な外観は、この辺りのランドマークの一つ。低層の店舗区画には幼児向けのジムやゴルフスクールなど広尾らしいテナントも多い印象だ。そんな建物の顔の１つと言っても過言ではない1F路面空間が、人知れず次の引き継ぎ手を探していた。

>>SPACE
建物メインエントランスすぐ脇にあり、前を通ったことのある人は、必ず目にしているはずの路面区画。以前はドイツ製のキッチンメーカーのショールームが入居していたというガラス張りの空間は、現状商品であったキッチンを撤去した状態での居抜き仕様。白い天井とモルタルで丁寧に整えられた床は、以前は主役の引き立て役であったのだろうが、ただの脇役とするにはもったいない程の整い具合。存在感のあるフロア中央のお立ち台の様な造作も、メインのキッチンが撤去されただけに現状少し寂しげに感じるが、モノトーンに近い空間の中では良いアクセントになっていた。
キラー通り側の開口部以外は造作で塞いでいることもあって、燦々と光が入る訳ではないが、天井高3m以上の空間はトーンの落ち着いたスマートな印象。奥には外部からの目線の届かないコンパクトな事務スペースもあり、ショールーム仕様として考えると、至れり尽くせりとも感じてしまう様な状態だった。

>>HOW TO USE
「空間の主」と「商品」というメイン不在にも関わらず、空間の下ごしらえは万全。もちろん前回同様ショールームとして利用するなら、既存の内装を活かしつつ、若干いじって世界観を作り直すだけで問題ないだろうし、オフィスとして考えたとしても、中央にあるお立ち台に関しては、そのままガラスで囲めばすぐ会議室に早変わり。仕上げに色味を合わせた落ち着いたトーンの家具をパッと運びこむだけでも、グラウンドフロアの特性を活かした視線の集まる空間が容易に完成するはずだ。
コスト削減以外での居抜きのメリットとしては、本来オフィス仕様でない内装を利用した、遊び心に溢れる空間が作り上げられることかもしれない。下味のしっかりついたこの空間を、ここからどう調理し仕上げていくかは、まさに腕の見せ所。軒を並べる店舗やショールームに負けないレベルの魅せるオフィスを完成させていただきたい。

知る人ぞ知る高級キッチンメーカーのショールームだけあって、実に広尾らしいスマートな空間だった。フロア中央にあるお立ち台部分のせいで、活用出来るスペースに不安を感じたとしても、この部分は今後撤去される可能性もあるとのことなのでご安心を。