神宮前オフィス・店舗 | 表参道沿い最上階スケルトン空間
EDIT
>>LOCATION
2024年春に新たな商業施設の開業を目指し、大規模な工事が進められている明治神宮前の交差点。いつの時代もこの原宿・表参道エリアのアイコン的な存在と言え、今後もその不動の地位は当分揺るがない事だろう。この建物があるのは、そんな明治神宮前の交差点付近。もはや細やかな道案内は不要で、表参道沿いの東急プラザの隣。そんなざっくりとした説明でも見つけてしまえるようなベストなポジションにこの建物はあった。
>>SPACE
1Fに「MARC JACOBS」が入る建物の最上階の6F部分。室内に入ると、その空間の雰囲気の良さに思わず惹かれてしまう。
着飾ることが多いこのエリアにありながら、室内はざっくりとしたフルスケルトン。荒々しいコンクリートの躯体剥き出しで、もちろん水回りもなければエアコンや照明などもない。ただ、そんな何もない状態なのに、醸し出す色気はなかなかのもの。ドすっぴんだからこそ、この空間の本質的な良さを感じることができる。
空間は、天井高は3Mほどと高く、シンプルでクセのない形をしていて、表参道のケヤキ並木へ向いた窓からは陽もよく射し込んでくる。春先からは窓先のケヤキも緑で生い茂り、モサモサした緑を眺めながら、この空間で過ごしたらめちゃくちゃ気持ち良さそうだ。この高さともなれば外の音もほぼ感じず、ゴツゴツした粗い見た目の割に、その空間はとても穏やかで優しい雰囲気に包まれていた。
>>HOW TO USE
場所良し、空間よし、眺めよし。これだけ聞くと、一見抜かりない物件にも感じられてしまうが、実はこの建物、今後の建替え計画もあり、約4年間という期間限定の募集となる。フルスケルトンからの設備投資を考えると4年は物足りなさがあり、この点が高いハードルにも感じてしまうと思う。とは言え、それで諦めるにはもったいない。むしろこの短い期間のうまい使い方をポジティブに考えた方が楽しい。
例えば、割り切って内装はこのままでロックに使う。正確には、最小限の設備は設置するものの、空間は“未完”というように、このスケルトンを仕上げとしてそのまま使うイメージ。そんなざっくりした空間をギャラリーやスタジオなどで使ってもむしろ雰囲気があって面白そうだし、オフィスやフィットネスジムなんていうのも代えってストイックになれていいかもしれない。必要であれば、仮設のパーテーションや什器などで空間を彩るのも、クリエイティブで面白いのではないだろうか。割り切り次第では、この恵まれた立地と空間で過ごす4年という短い期間でも、十分濃厚に過ごすことができ、その先にもいつまでも記憶に残る時間にもなるだろう。この期間をただ短いとみて諦めるより、むしろチャンスとみて創造を膨らませてみてはどうだろうか。
EDITOR’S EYE
もちろん4年という期間をど返ししてでも、ガッチリ内装を作り込んでしまう気合いの入った方もお待ちしたい。ちなみに6Fという高さなので、室内に入るまではケヤキ並木を眼下に見下ろせる高さだと室内へ入るまでは考えていた。しかし、実際にはこの部屋の目線の高さまで木々が生い茂り、改めてケヤキの大きさと、道路を見下ろすことを許さない木の密度にも驚かされた。