中目黒オフィス・店舗|築年数不詳の元古書店
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LOCATION
中目黒駅から徒歩5分。目黒川の南側に広がる昔ながらの商店街、「目黒銀座」。昼は買い物客や近隣で働く人、夜は飲食店を目当てに訪れる人で賑わい、時間帯によって街の表情が変わる通りだ。小さなお店が肩を並べるこの商店街には、今もどこかローカルな空気が残る。その一角に建つのが、かつて古書店として使われていたこの建物だ。
SPACE
建物を見た瞬間、「これは面白いぞ」と思わずニヤッとしてしまった。1Fは商店街と半分繋がっているような広い土間スペース。奥には小上がりの住宅部分が続き、昔ながらの店舗併用住宅のかたちがそのまま残されている。店舗スペースの壁一面には、古書店時代の本棚。それは天井近くまで続き、長い年月、本を受け入れてきたであろう空気を空間自体がまとっている。残されたカウンターに座っていた店主はおじいさんだったのか、それともおばあさんだったのか。そんな想像も自然としてしまうくらい、店としての記憶が色濃く漂う空間だ。
2Fへ上がると左右に2つの和室。窓を開ければ、目黒銀座を歩く人たちの気配がすぐそこにある。けれど、彼らはこちらの視線に気が付かない。商店街の真ん中で、少しだけ上から街を覗き見しているような感覚が面白い。空間の持つ雰囲気からも、この空間だけ特別な時間が流れているような錯覚すら。かつてはよく見かけたタイプの建物だが、今では意外と残っていない。ありふれていたはずなのに、どこか新鮮でワクワクさせてくれる魅力ある空間だ。
HOW TO USE
この場所に身を置くと、自然と情景が浮かんでくる。商店街から土間へ入り、その奥に小上がりの客席。通りの賑わいから少し離れた場所で、ゆっくり時間を過ごせるようなお店。そんな空間の使い方が、この建物にはよく似合いそうだ。例えば、外観の雰囲気はできるだけ活かし、街に馴染んだ感じはそのままに。そして、商店街に面した1Fをカフェやショップにして、奥の小上がり部分を客席にする。通りに開いた入口の軽さと、奥に進むにつれて少しずつ空気が変わっていく感じだ。この建物の面白さは、そういう緩急にもある気がした。もちろん、1F手前をギャラリー、奥にアトリエ、2Fはオフィスといった使い方もイメージしやすい。
すべてを作り変えてしまうのも一つの方法だが、この建物の面白さはむしろそのまま残された構成にある。こうした日本的な空間の魅力をしっかり整えて引き上げることができたら、この場所はきっと他にはない表情を持つはず。かつての日本のライフスタイルをアレンジして、昔にも、今にもない新しい働き方を編み出してみるのはいかがだろうか。
EDITOR’S EYE
思い切った改装をしようとすると、それなりの費用がかかることは想像に難くない。ただ、その点については貸主から一部補助が用意されているという。さらに屋上防水や外壁塗装も実施予定で、タイミングによっては外壁の色の相談もできる可能性があるそうだ。うまくハマれば、商店街の中でもちょっと面白い存在になるかもしれない。