外苑前オフィス｜駅近居抜き空間

>>LOCATION
外苑前エリアは、表参道に近い華やかさがありながら、青山一丁目寄りの適度なビジネス感で身が引き締まる、そんなバランスの良さを備えている。今回の物件があるのは、そんな外苑前駅のすぐ近く。青山通りとスタジアム通りが交差し、さらに外苑西通りも近いというなかなか交通量の多い賑やかな交差点付近。周囲に立つガラス張りのビルなどからは、少し浮いた存在にも感じるレトロなタイルの建物。コンビニや焼き鳥屋が1F,2Fに店舗を構えるという状況も相まって、少々雑多な印象とも言えるこのビルが立っていた。

>>SPACE
青山通りに面しながらも、建物の裏手に回ったところにある裏口の様なエントランス。さらにはやや雑居感のある共用部など、若干の不安を感じるアプローチを抜け、今回募集の3Fの室内へ。
レトロな玄関扉の奥にもう一枚、スッキリとした印象のガラス戸。そして、その先に広がるのはコンパクトではあるが、天井は抜かれ、壁と床はモルタルベースでクールに整えられた空間だった。共用部の印象からは一瞬目を疑うほど、しっかりと作り込まれているスペースは、以前アパレルのショールームとして利用されていたと聞くと、なるほどと納得感があった。その作り込まれたスペースの奥に、まだ空間は続く。こちらはスタンダードなオフィス仕様で少々拍子抜けというのが第一印象だったが、青山通り側、そして建物裏側の路地に向けての窓が大きくて気持ち良く、爽やかな印象というのがじわじわと染み込んできた。青山通り側の窓の先には、スタジアム通りに向かっての抜け感と駅前の賑わい、裏側はというと細路地に竹林と梅窓院の建物の厳かさ。そんな「動」と「静」という対極にある様な特徴的な景色が広がっていることも、一見するとノーマルな仕様の空間を見た目以上に印象深く感じさせていた。

>>HOW TO USE
外観や共用部の印象からそれほどの期待を持ってこの建物を見ている人は多くはないだろう。そんな中にあって、一歩室内へと入り込めば、意外性のある雰囲気良く作り込まれたクールな空間。さらに、そのクールな空間の印象に引っ張られるように、意外とスタンダードな空間も相乗的に良く感じられる。入口は一ヶ所しかないため、必ずクール→スタンダードの空間を通過する動線になるなら、この感覚をベースに空間を仕上げてみても良いだろう。もちろん、どちらもクールな空間へと揃えてしまうのも悪くないが、敢えてそんな現状の良さを活かす方向で考えてみたい。ノーマルなタイルカーペットは温かみをより感じられる様に、無機質なものというよりも落ち着いた毛足の長いものに変えてみる。さすがに現在の蛍光灯は味気ないので、色気のある照明に交換は必須になるだろう。その2点が変わるだけでも、この空間の魅力はさらに高まりそうだ。
単純に良い空間ではあると思うが、それだけではここまで良い評価には繋がらなかったかもしれない。意外性によって高められたこの空間。一見するとウィークポイントとも思える外観や共用部の雑多感は、愛すべき影の立役者として、この物件にはなくてはならない存在と言えそうだ。

青山通り側の窓先の目線は歩道橋とほぼ同じ高さ。そんな意外性のある目線も備わった面白い空間。来客が歩道橋を渡ってきているのを見かけたら、まずは窓から挨拶してみるなんてのも、ドッキリの様で距離がグッと縮まるかも？