神宮前オフィス・店舗 | 天井高5.6Mスケルトン空間
EDIT
>>LOCATION
言わずと知れたファッショントレンドエリアである表参道。ケヤキ並木に沿って、世界中のハイブランドのショップが列をなし、その通りを歩くと、いつもショーウィンドがキラキラと煌めいている。そんな緑豊かであり、華やかさを兼ね備えた通りの、ちょうど中央に位置する表参道ヒルズ。今回ご紹介する建物は、この通りのランドマークとも言えるヒルズの、すぐ裏という抜群のポジション。賑やかなメイン通りから少し奥へ入った、比較的穏やかな場所にひっそりとこの建物は佇んでいた。
>>SPACE
2021年10月に、1棟大改修を終えたばかりのこの建物。B1Fは美容室が入る予定で、今回は1Fと2Fのセット区画の紹介となる。外見から薄々気にはなっていたが、1Fを入り、内階段で2Fへ上がると、胸の高鳴りを抑えられない空間が現れた。最高5.6Mという、ドーム状の空間。現在はフルスケルトンということもあって、純粋な造形空間の中に、両サイドに付けられた半円の窓からただ光が射し込むだけ。スケールアウトしたそんな空間にいると、なんか不思議な抱擁感に包まれる。静けさの中に緊張感もあり、一般的な空間とは質が違う、言うなら教会建築のような洗練された空間だ。
実は今回行なった改修の目的は、建物を現在のルールに適法させるため。元々はこのドーム天井の部分は、屋根裏部屋のような3Fとして存在していたが、今回の工事によってその3Fの床を削り取り、下の階と繋げて2フロア分の大きな空間へと加工した。幻となった3Fも個人的には好きな感じだったので少し残念だが、正しい行為を貫いたこそこの特殊な空間が生まれたことを考えると、オーナーの英断だったと言えるだろう。
ついつい2Fに気持ちを持っていかれすぎてしまうが、1Fも普通にいい空間。こちらもフルスケルトンで、両サイドに窓があり、形もシンプルで、天井高も2.7M。2Fのような個性はもちろんないが、いい引き立て役というか、格別な2Fをより印象的に見せるいいサポート役に徹しているような空間だった。
>>HOW TO USE
現在はどちらもフルスケルトンなので、まずは整備が必須。それにはもちろんながら相当な資金が必要で、考えただけでひよってしまいそうだが、それらを諸々含めても、やっぱりこの空間への期待感に勝るものはない。一度見たら忘れないような存在感がこの空間にはある。こんな空間なら、例えば撮影スタジオだったり、アパレルのショールームやギャラリーなど、突き抜けた世界観を作りたい!という要望にもうまく答えてくれるはずだ。間違いなく絵になるし、その空間を体感した方は忘れないはず。そんな空間が、また表参道という立地にあるからこそ希少性もあり、うまくブランディングにも取り込めるだろう。また、個人的には、溢れる資金を元手に、これを住居に作り込んで住んでしまうような、大胆不敵な挑戦者も陰ながら期待している。
なにはともあれ、百間は一見に如かず。この空間は、とても穏やかで静かなのに、そこに立つと心は無性にソワソワして、気持ちの高鳴りを感じさせられる。そんな心を揺さぶるこの空間を、とにかくまずは味わってもらい、今まで描いたことのないような空間の使い方を想像してみて欲しい。
EDITOR’S EYE
住居専用エリアで、近隣に学校があったりと、意外と制限が厳しいエリア。そのために飲食は不可だったり、その他の利用方法にも制限を受けやすさはあるのでご注意を。使い分けとしては、1Fはサポーターとしてオフィス機能やバックヤードに徹してもらいつつ、2Fはなるべくこの純粋な空間を活かすように、最大限に抽象的な空間として演出する感じが良いだろう。この空間をどう使おうか、妄想を膨らませているだけでもワクワクが止まらない空間だ。