代官山オフィス|レトロさ◎ 窓に囲まれたリノベ空間
EDIT
>>LOCATION
青山/渋谷と代官山を結ぶ八幡通り。今回の物件があるのは、並木橋交差点から代官山方向に少し登った猿楽橋を越えたあたり。まさに代官山の入り口とも言える場所だが、近隣の高架下から漂う独特なカオス感も少々あり、華やかというよりは玄人向けのカルチャーを感じる、代官山の中でも“通”な場所かもしれない。
1Fには、White Mountaineeringが入居していることもあり、このエリアではちょっと名の知れた存在のこの物件。築年数は経過しているが、募集が出ると毎回希望者がすぐ現れるモテる建物は、今回久しぶりに大型区画のパートナーを募集中だ。
>>SPACE
室内は、ざっくり大中小の3つの空間に分けられている。全体的に前入居者であるデザイン会社の使用感はあるにも関わらず、不思議と気持ちの良さは十分。メインとなる空間に立てば、いい感じのレトロ感と十分な日差し、そして通り沿いの街路樹が窓先に見え、この建物の根強い人気も納得させられた。
八幡通りに面したメインのスペースは、スケルトン仕様の天井/コンクリート床の外さない仕上がり。元住居ということもあって窓が所狭しと並び、数枚開けただけで気持ちの良い風が縦横無尽に抜けていく。通り側に向かい窓先が抜けていることもあり、北西向きながらも十分な光量を確保し、安定感すら漂う心地よい空間だった。
そして、逆サイドに位置するもう1つの空間(中)は、壁1面をモルタル仕様にして、前テナントが残したウッドブラインドや小ぶりなランプが絵になる空間。さらにもう1つの小ぶりな空間は、現状、収納スペースとして利用中だ。
これから原状回復工事にて収納棚や間仕切りの撤去が予定されているが、それが済めば今以上に空間全体を見渡せる様にもなり、全体の一体感もより増してくることだろう。
>>HOW TO USE
空間全体を通じ、コンクリート躯体のラフさ、窓から差し込む優しい日差しなど、ベースの素材としては文句なし。原状回復により壁面も再度白塗装されるとのことなので、現状からのアレンジは、アイデア次第で如何様にでも可能だろう。
この建物が多くの人に好まれる理由は、その立地やコスト面ももちろんだが、改装に関して寛容なスタンスだからという点もあるかもしれない。入居者の入れ替わりがあっても完全に0の状態には戻らず、継ぎ足し継ぎ足しでこの現状の味わいが出来上がったらしい。過去様々な入居者のアレンジした内装が随所に残ったチグハグさも、それが逆に積み重ねられたストーリーを物語る様で、なんとも個性的で面白いと感じるのは自分だけではないはずだ。
代官山の入り口のアイコン的存在の1つとして、歴史と雰囲気のあるこの建物は、代官山デビューの第一歩はもちろん、元からこのエリアに馴染んでいたかの様な顔でのスタートにも、うってつけに思えた。
EDITOR’S EYE
建物自体は元々居住用のため、3Fフロアにも玄関扉が3箇所ある。
1箇所はすでに潰してしまっているが、スタッフ/来客と動線を分ける際にも重宝するだろう。
賃料単価的なパフォーマンスも良く、実は弊社オフィスとも雰囲気が非常に似ており、個人的にも好みな空間だった。