麻布十番店舗|天高8mの地下空間
EDIT
>>LOCATION
麻布十番といえば、芸能人御用達の飲食店があったり、高級レジデンスがあったりと、どこかセレブな印象を持つ人も多いかもしれない。もちろんそんな一面があることは事実だが、駅前には創業100年を超える老舗の店舗があったり、駅から少し離れると町工場が突如現れたりと不思議な下町感があり、実は知れば知るほど魅力が発見できるエリアだ。
今回見つけた建物は麻布十番駅出口から直結で、新一の橋交差点を見下ろす様に立つ、十番エリアでも特徴的な複合ビル。その地下に眠った空間は、怪しさと大きなインパクトを内包していた。
>>SPACE
改札階から直結のエレベーターでB1Fフロアへ。何やら怪しげな専用のエントランスは、どこかアトラクションの入り口の様にも思える薄暗さもあり、期待感を煽られてしまう。恐る恐るといった心持ちでその先へ進むと、視界の広がる大空間がそこにあった。光の入らない何とも地下らしい約170坪の大空間は、最大8mと圧倒的な天井高があり、サーカス会場にでも来た様な感覚に包まれてしまうほどだった。
以前はキャラクターのショーレストランだったらしいこのスペース。空間中央付近には、階段を撤去してしまったそうだが中二階の様な場所もあり、それはそれは煌びやかで華やかな空間だったのだろう。今や内装を解体され、剥き出しの躯体に仮設の照明と、荒々しさを隠しもしない状態であるが、当時の残り香の様な色気と不思議な力強さを感じさせてくれた。
>>HOW TO USE
特徴的な天井高を持つ空間のインパクトは抜群なので、飲食店やクラブなどとすれば、すぐにでも麻布十番の夜の顔的な位置まで飛び上がれる様な気もする。もちろん想定できる利用方法は他にも様々あるが、この状況下での重めのイニシャル/ランニングコストをどう考えるか。超えなければいけないハードルも高いだけに、足元をしっかり見据えつつ、慎重に一歩を踏み出してもらいたい。
オフィス不要論や不要不急の外出を減らせと、これだけのスペースを借りるタイミングとしては、向かい風が吹いている状況であることは否定しない。ただ、未来永劫この状況が続くことはないだろうし、アートに映画、スポーツジムやクラブと非日常を味わえる場所は無くならないはずだ。不急ではないかもしれないが、より豊かな日々を送るためには、こんなとびきりな場所が必要不可欠だと思った。
EDITOR’S EYE
特殊な天井高だけに、各種内装工事には室内への足場の設置も必要で、手間がかかる空間であることは間違いない。以前はものまねタレントさんのエンターテインメントレストランが入居し、直近はアニメのショーレストランだったりと、知名度の高い空間だ。