南青山オフィス・店舗 | 新築セミスケルトン空間
EDIT
>>LOCATION
青山にある骨董通り。六本木通りから青山・表参道エリアに抜けるこの道は、常に多くの車が行き交い、いつも賑やかな印象がある。かつてはその名の由来となった骨董品店が多く並び、路面電車までも走っていたというが、今ではその面影はなく、どちらかというと、アパレル店舗やカフェなどが立ち並ぶ、ファッショナブルな通りというイメージだろうか。そんな通りを、人混みを割って進んでいくこと数分。駒沢通りとの交差点を越え、もう少しだけ六本木方向へ進んだとこにある脇道に、この建物がそっと潜んでいるのを見つけた。
>>SPACE
2020年11月に完成したばかりの新築の建物。この青山エリアの雰囲気にもよく似合うSHOP風のデザインビルで、ぱっと見の印象もなかなかいい。
1Fは、大きな窓面と、天井高3.3Mほどあるスケルトン空間。目の前にはゆったりとした路地と、向かいの壁の上からチラチラと映り込む緑が、空間のいいアクセントとして映えていた。その脇にある階段を上った2F部分。こちらはエアコンがあらかじめ設置されたセミスケルトン仕様で、このままオフィスやショールームなどにも良さそうな空間だろう。白い壁とグレーの躯体だけの、極力色味を消したニュートラルな空間の中に、向かいの緑が良く映えている。むしろこのピクチャーウインドウを強調するために、あえて室内はシンプルなトーンで仕上げられているんじゃないかと思うような、とても印象的な作り方をしていた。
どちらのフロアも、有難いことにトイレとミニシンクはあらかじめ設置されているので、スケルトンとは言え、だいぶ造作のハードルも抑えられるだろう。内外ともに、細部のディテールまでよく拘って作っている印象で、全体的に野暮ったさはなくスマートで、それをあたかもなんでもないように、涼しげな顔をしているのがまたこの建物のニクいところだ。
>>HOW TO USE
この建物のいいところが、路面からは3F部分が見えづらくなっているところ。言われなければ、2F建てに見えてしまうんじゃないか。そのため、例えば1FをSHOP、2Fをショールームやオフィスとして使っても、まるで1棟自社ビルのように、カラーを全面に打ち出しやすいのは、ブランディング的にもかなりプラス要素になるだろう。もちろん2Fだけオフィス単独でというのも全然ウェルカム。照明を設置してあげるだけで、ほぼほぼ手を掛けずとも使える手軽さもある。骨董通りの少し奥まった立地にあるため、出入りの多い業種にとってはあまり便利ではないかもしれないが、日中多くの時間をオフィスで過ごす方々にはかなりおすすめだろう。空間や環境はとても穏やかで過ごしやすく、まるでうちの緑と言わんばかりに、うまく隣の環境を拝借していて、結果として居心地の良さを膨らませている。そんなズルがしっこいところも、なんか憎めないこの豊かな空間で、ゆっくりと好きな仕事に専念していただけたら、よりクリエイティブな時間を過ごしていただけるんじゃないだろうか。
EDITOR’S EYE
例えば、もしこの緑がなければ、室内はとてもシュールなスケルトン空間だけで終わってしまったかもしれない。この緑の存在はかなりこの物件にしては大きく、なんなら緑無しでは語れないような、依存性の高さが大きい。実はこの緑、向かいの住宅のもの。そのため、いつどうなるかわからないが、いつまでもこの環境が残ってくれることを切に願うまでだ。。