赤坂オフィス |1F路面スケルトン物件
EDIT
>>LOCATION
オフィスビルに囲まれ、整然としていてどこか品のある外苑東通り。青山一丁目駅から赤坂方面へこの通りを数分歩き、ふと脇道に潜ると、緩やかにうねる長い下り坂が現れた。その下り坂の途中には、高級ホテルやカンボジア大使館などが優雅に並び、より一層の格式高い雰囲気が漂っている。そんな「格式」が前面に押し出されたような空気感に少し緊張していた時に出会ったのが、今回の物件。周辺の重厚な建物たちとは打って変わって、背の低い木造二階建ての見た目がなんだか親しみやすい。そんなどこか手作り感すら感じるこの建物が、ここの坂道を一気に軽やかなムードへと変えてくれていた。
>>SPACE
ホワイトに塗られた外壁に、木造ならではの三角屋根が可愛らしいこの物件。建物正面には大きな開口部が道路に向かってせり出していて、カフェのテラス席を思わせる作りが印象的だった。そんな外観から、室内もさぞ明るく可愛らしい空間が広がっているのだろうなと想像していたが、結論を言うと全然違った。脇に設置された仮設の小さな扉から中へ入ると、そこにはかなりの荒々しさが残るスケルトン空間が広がっていたのだ。赤や白、黒色のH型鋼が壁や天井に張り巡らされ、奥の方は光が届かず薄暗いのでものものしい。何か悪いことを企む場としては十分に機能しそうな、そんな怪しさ満載の空間となっていた。
外観は可愛らしく、爽やかな雰囲気。室内に入ると荒々しく、怪しげな雰囲気。そんな振り幅効かせた二面性が面白く、このベースの上にならどこまでもキャラクターを加えていけるような可能性をも感じた。
>>HOW TO USE
建物入り口の開口部からして、カフェやアパレルショップなどの役割も担えそうだが、人通りが少なく静かなこのエリアを含めて考えると、あまり店舗には向かないようにも感じる。なので、ここはオフィスとして割り切って使ってみてはどうか。入り口の開口部は、テラス席さながら、ぽかぽかと日光浴が楽しめるスペースに。大きめのソファとテーブルを置けばちょっとしたミーティングにも対応できるだろうし、日光と爽やかな風を感じながらの会議は、リラックスすることによってアイデアも生まれやすそうだ。
そして、そんなぽかぽかスペースの奥に広がるスケルトン空間をどうするか。個人的には、好きなように作り込みつつも、この荒っぽさもどこかに残して欲しいと思う。一部だけそのままにして、作業場や怪しげなギャラリーとして活用すれば、さらに表情豊かな空間が完成するだろう。現状のどうにもならないような荒くれ者を手懐けて、新たな性格を引き出すような気持ちで可憐にドレスアップしてあげてほしい。入居者の「らしさ」を、新たなキャラクターとしてこの建物に刻み込んでいただければと思う。
EDITOR’S EYE
外観と室内の雰囲気の違いは、どこでもドアを潜って別の場所に来てしまったのかと思うほど。そんな二面性を面白がれる人に、ぜひ命を吹き込んでもらいたい。
1F路面区画にしては、坪単価22,000円と抑えめ。その点も、事務所として十分検討できる要素だろう。