渋谷オフィス | インパクトある建物路面区画
EDIT
>>LOCATION
渋谷から宮益坂を登り青山方面へ少し進み、通りに沿って広く開ける視界の先に青学や国連大学が見え始める辺り。行き交う人は皆、渋谷や表参道の各駅方面へと向かう姿が散見される、目的地というよりはどちらかといえば道中的な場所だろうか。今回の物件は、そんなエリアにあって、異様とも思える存在感の建物。生物の外殻を彷彿とさせるマットな質感のタイルが張り巡らされた外壁と、建物自体が生きているかの様に感じさせる不規則に並んだ目の様な窓が、独特の雰囲気を醸し出していた。
>>SPACE
募集区画は路面に位置する1F・2Fの店舗事務所区画。楕円状の目の様な窓に設けられた入り口からのアプローチは、オフィスビルの中へ入るというよりは、大きな生き物の体内に入るような不思議な感覚があった。
現状の室内は、スケルトン状態に解体された上下2層のメゾネット空間。扉を開けてすぐ正面の1Fは、エントランス部分が若干高くなっていることもあり、4m近い天井高がより際立っている。階段を登った先の2Fは、70坪超えの面積を確保した広めのスペース。存在感のある梁が天井を低く感じさせてしまう点が惜しいが、整ったコンクリート素地もあり端正な雰囲気だ。よくあるガラス張りの明るい店舗物件とは異なり、1F2Fの両フロアとも路面側に楕円の窓が数カ所のみと開放的な空間ではないが、その分外部から「守られている感」が強く印象に残った。
>>HOW TO USE
この立地の路面区画だけあって、月々のランニングコストはやや重め。ただ、人通りもある程度確保された場所なので、事務所単体での利用というよりは、店舗やショールームメインとして考えてもらえると、より路面区画の特性も活かせるだろう。外観のインパクトに負けない様にとことん内装にこだわり、限られた窓からの見え方を意識した照明やインテリアでうまく内部に誘い込めればこっちのものだ。高さのある1Fと奥行きのある2Fでそれぞれ内装のテイストも上手く切り替えるなど、工夫を凝らしてみてほしい。
硬く強固な殻の中には、多くの場合が魅力的で大切な身があるというのがセオリー。そう考えると、一見とっつきにくいこの建物の外観も、室内の魅力を際立たせる要素として、欠かせないものなのかもしれない。
EDITOR’S EYE
建物の設計は、プロダクトデザイナーであり建築家でもある若林広幸氏。一説には我流で建築を学んだと言われている通り、青山通りに沿って立ち並ぶ建物の中でも、一際異質な雰囲気と言えるだろう。