南青山オフィス・店舗 | 天井高3.7m 骨董通り沿い
EDIT
LOCATION
表参道駅から南青山五丁目交差点を曲がり骨董通りへ。流行と歴史が絶妙に編集されたこの通りは、品のある佇まいと感度の高いショップが同居しており、軽々しくファッションストリートなどとは呼べない、大人の雰囲気を作り出している。そんな骨董通りらしい古き良き青山の面影を残す建物群の中に、爽やかさを纏ったガラス張りのこの建物が一際存在感を放っていた。
SPACE
室内に入ってまず感じたのは、空間の広さに対しての感覚の狂い。約3.7mのスケルトン天井の抜け感が、頭で理解していた約180m2という広さを、想像以上に広く感じさせる。
骨董通りに面した窓は、途切れることなく続くガラス面。開口部の多さのおかげか、スケルトンにありがちな薄暗さや陰気さがまるでない。柱の位置にも余計な圧迫感がなく、視線が奥まですっと通り、差し込む光が、剥き出しの躯体や配管、柱の輪郭を一つひとつ丁寧に浮かび上がらせていく。30分ほどの滞在だったが、急に天気が変わった際には、空間の明るさもみるみる変化していく様を目の当たりにして、理屈より先に、心が惹かれてしまった。
刻々と移り変わる光によって、同じ場所でありながら表情を変えていく室内。そのありように美しさすら感じ、どこかファッション性さえ漂う。光や素材、躯体そのものがつくる表情まで含めて、妙に心に残る魅力的な空間だった。
HOW TO USE
不思議に思ったのは、何もない、ただのスケルトンの空間に、ファッション性を感じてしまったこと。骨董通りという、流行と歴史が編集された立地。スケルトンという未完成の状態でありながら、どこか有機的なこの空間。この2つは、”仕上がっていないのに、すでに何者かである"という奇妙な説得力を持っているのではないか。壁は極力立てず、島のように家具でゆるやかにグループ分けしていく使い方が似合いそうだ。床さえ整えれば、あとは無理に足さない、引き算のレイアウトでいい。
空間の使い方と同様、今は誰もが自分の仕事そのものをデザインする時代。だとすれば、ファッション性はもう、特定業種だけの専売特許ではないのではないか。この部屋がまとう気配は、その時代の空気そのものかもしれない。だから何かを着せる前から、この空間はすでに「ファッションしてる」のだ。
EDITOR’S EYE
突然だが、大きな空間を目の当たりにしていると、大きな絵と対峙した時のことを思い出す。どちらも自分よりも大きなスケールに対しての開放感や緊張感、畏怖など、「大きさ」が持つ質量のようなものがあることを再確認させられる。もちろんこの空間にも言えることで、その大きさが持つ魅力をオフィス選びへ活かしていただきたい。