恵比寿オフィス・店舗|気の良い爽やかなスケルトン空間
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LOCATION
恵比寿駅から徒歩8分ほど。ガーデンプレイスの賑わいを横目に目黒三田通りを越えると、街の空気ははっきりと変わる。動く歩道を使った人の多くはガーデンプレイスへ吸い込まれ、この辺りまで歩いてくる人はそう多くない。渋谷区と目黒区の境界あたり、新茶屋坂通り沿いに建つこの建物の周辺には、どこか肩の力が抜けた空気が流れていた。交通量も落ち着いていて、空も広い。恵比寿の便利さを使いながら、少しだけ距離を取って働ける。そんな立地だ。
SPACE
撮影の日、オーナーがすでに窓を開けて待ってくれていた。その心遣いが呼び込んだのか、室内へ入ると風がふわりと抜ける。直感的に「あ、好きだな」と思った。
長年、この場所では歯医者さんが街の人たちを迎えてきたという。だからだろうか、スケルトン状態にも関わらず、不思議と空気が荒れていない。何なら、爽やかさや健やかさを感じるほどだ。床も天井も驚くほどフラットで、躯体現し特有の雑多さがない。配線も綺麗にまとまり、コンクリートの表情もどこか穏やか。窓面は多いが光は強すぎず、室内全体を明るく、居心地の良い空間にしてくれている。2Fへの専有動線まわりの植栽や共用部も手入れがされ、派手さはないが、ちゃんと丁寧。こういった積み重ねが、建物の気配を静かに整えているのだと感じた。
便利さや効率だけではなく、日々を気持ちよく過ごせるかどうか。この場所を選ぶ人たちは、きっとそんな基準を持っているのだろう。
HOW TO USE
正直、駅からは少し距離がある。内装費用だって、それなりに覚悟が必要だと思う。けれども、その条件を一度脇に置いてしまうくらい、この空間の“気の良さ”に見事にやられてしまった。
スケルトンと聞くと、無骨だったり、少し尖った空間を想像することも多いだろう。でもここは違った。やわらかな光と、窓を開けた時の静かな風。空間全体に、澱みがない。自然光が室内を均一に明るくしていて、ただそこにいるだけで気分が良かった。やはり、“気が良い”という言葉が一番しっくりくる。
この空気感を活かすなら、慌ただしく人を回転させるより、一人ひとりと丁寧に向き合う使い方の方が似合う。例えば、予約制のサロンやショールーム。あるいは、少人数で静かに働くデザイン事務所なども良さそうだ。効率や派手さではなく、毎日ここへ来たくなるかどうか。その感覚をちゃんと信じて選べる人には、きっとやさしい手応えが返ってくる。
ふと、自分の引越しの際の引き渡し直後の景色を思い出した。まだ家具もなく、床だけが広がっている空間。クリーニングを終えたばかりの、まだ何も始まっていない状態。この空間には、あの時に少し似た、未来が始まる前の気持ち良さやワクワク感が残っていた。
EDITOR’S EYE
晴れた日に、特に力を発揮する空間だ。この場所の気の良さ、光と風の気持ち良さは、写真だけではなかなか伝わり切らないと思う。内覧はぜひ天気の良い日に。雨の日は、無理をせずにまた今度。ハメハメハ大王スタイルでいきましょう。