表参道オフィス・店舗|こだわりの天高スケルトン空間
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LOCATION
表参道駅から外苑前方面へ徒歩7分。青山通りの賑わいを背に、パソナ本社の角から長者丸通りに入る。小さなお花屋さんや居酒屋など、どこか下町のようなラフさが残る通りだが、ギャラリーやショールームも点在し、このエリアらしい感度も感じられる。そこからさらに路地へ入ると、空気はすっと落ち着く。人通りは少なく、静かさが漂う一角。そんな場所に、ふと質感の異なるこの建物が現れた。
SPACE
最初に目を惹かれたのは、緩やかな曲線を描く黒煉瓦のファサード。ここに、強い意志を感じる。わざわざ燻して色を深めた煉瓦。ヴィンテージのような風合いを、新築の建物に意図してつくり込んだ痕跡だ。感じ取るのは、その手間をかけてでもこの質感をつくろうとしたオーナーのこだわり。そんな壁面に対して、開口部はあくまでシンプル。水平の窓と縦スリットが一定のリズムで並び、重たさのある煉瓦に対して心地よい抜けをつくっている。この対比が、建物らしさとして静かに現れ、新築とは思えない落ち着きと色気を纏っていた。
内部へ入ると、その対比がよりはっきりと現れる。天井高3mの、コンクリート打ち放しのスケルトン空間。真新しい綺麗なコンクリートから、キリッとしたシャープな空気感が広がる。1Fでは通りの気配が近く、2Fでは裏路地の穏やかな景色へと視線が抜ける。青山の路地にひっそりと誕生したこの空間は、立地、建物の印象、窓からの景色から、きっと“大人”な入居者によって、しっぽりと良い空間に仕上がるのだろうと感じさせられた。
HOW TO USE
求められるのは、この立地、建物にどこまで向き合えるか、という姿勢なのかもしれない。外観に見られるオーナーのこだわり。そして、落ち着いた南青山の路地という立地。その空気感に応えるように、内部の空間をどう扱うか。街の穏やかな空気や、空間が持っている素材の良さを引き出していき、この建物にふさわしい空間へと導いていただきたい。
1Fは路面に開かれ、ひっそりとした通りの気配がそのまま室内へと流れ込む。外と内がゆるやかに連続する関係性は、穏やかなカフェやギャラリーといった用途と相性が良さそうだ。一方で2Fは、より裏路地感のある落ち着いた環境。視線は自然と外の喧騒から切り離され、内側へと向かう。オフィスやサロン、予約制のショップなど、集中や滞在を前提とした使い方がしっくりくる。
素材や光、家具といった要素を丁寧に選びながら、この場所に似合う空間を探っていく。それは、この建物の在り方にも通じている。そうしてこだわって、こだわって、大事に積み重ねていった先にできあがるものは、もはや単なるこだわりではなく、愛情と呼べる領域に至るのかもしれない。そこで気がついた。あぁそうか、最初に感じた印象の良さも、オーナーがこだわり抜いた先にある、その愛情に触れたのかもしれないと。
EDITOR’S EYE
一見すると奥まった静かな路地だが、建物の先は行き止まりではなく、青山通り沿いのビルの裏口へと抜けている。日中は想像以上に人の行き来があり、行き止まりのように見える立地からは想像しにくい人の流れがある。街との接点を感じられる立地だ。