赤坂オフィス・店舗|天高3.3mスケルトン空間
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LOCATION
赤坂と乃木坂のちょうど中間。どちらの駅からも徒歩圏内だが、メインストリートから一本入るだけで、街の音量がすっと下がる。赤坂小学校のすぐそばという立地も相まって、時間帯によっては子どもたちの声が聞こえてくる、都心の中では少し珍しい穏やかさがある。
ご紹介する建物は、階段状に構成された外観が印象的な築40年以上のビル。派手さはないが、長くこのエリアを見守ってきた存在だ。再開発が進む赤坂の中にありながら、急激な変化に飲み込まれることなく、落ち着いた時間が流れている。この場所に立つと、「便利さ」よりも先に、「空気の違い」を感じるだろう。
SPACE
2025年に全館リニューアルが完了し、長年使われてきた建物は一度リセットされた。その中でこの区画は、オフィスフロアとは独立し、街直結の動線を持つ唯一の1F路面区画だ。
内部は、最大天井高3.3m超に、約160坪のスケルトン空間。面積の広さに加え、天井の高さがしっかりと確保されているため、この空間には紛れもなく体感値としての“ボリューム”があった。躯体現しの天井と床が生む色っぽい質感、そこに奥行きのある構成と柱のリズムが重なり、ワクワク要素も満載。加えて、三方向に設けられた窓の数が必要以上にあり、眺望こそ期待できないが、空間全体にささやかな光と空気の流れを生んでくれる。そして、見た目以上、期待値以上のこの空間は、スケルトンということで懸念点となりやすい、設備工事費用についても心配無用。空調、水回りの備えはあるので、オフィスとして活用も現実的だろう。多くの点でリアルにワクワクさせてくれるこの空間は、あらゆる側面でのポテンシャルも備えていた。
HOW TO USE
全館リニューアルの背景には、2F〜5Fを使用していた大口テナントの退去がある。長年この建物を支えてきた存在が抜けたことで、一度役割を終え、そして新たな世界へと足を踏み出した。共用部から専有部まで手を入れたのは、その意思表示でもある。
そんな建物の再始動を街へ向けて最初に示すのが、この1F区画だ。2F以上が新しい使い手を迎え入れるための「本体」だとすれば、1Fはその姿勢や表情、温度感を伝える「顔」のような存在。ここで何を伝えるかが、建物全体の印象を決めると言ってもいい。
前面道路からはセットバックしており、強い主張をする路面とは異なる。ただ、その一歩引いた距離感が、過剰にならない導入や、落ち着いたアプローチを可能にする。区画前の余白も含めて設計することで、街への挨拶代わりに、外と内をなだらかにつなぐ使い方が見えてくるだろう。
長年、赤坂7丁目で企業活動を支えてきた“重鎮”。その再始動をどう見せるか、どう語らせるか。その最前列に立ち、皆を引っ張って行って欲しい!
EDITOR’S EYE
約160坪のスケルトン空間と聞くと、内装コストに身構えてしまうかもしれない。ただ空調は設備として新設され、トイレも共用部に整えられている。すべてを一から作り込む必要はなく、「やらなくていい内装」を見極めることで、初期投資は現実的なラインに収めやすい。敷地内には平置きの地下駐車場もあり、来客用として確保するのもアリだろう。最大6年間の定期借家という制約付きではあるが、その分、条件面や計画の自由度については柔軟な相談ができそうだ。