六本木オフィス|六本木通り路面ギャラリー居抜き空間
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LOCATION
場所は六本木一丁目。目の前には六本木通りと首都高が走り、ガラス張りの高層オフィスビルがあちこちに立っている。都会ならではとも言える無機質な街並みが、繁華街である六本木エリアとも少々空気感は異なり、人工的でどこかピリッとした印象に背筋が伸びる感じがする場所。そんなエリアのなだれ坂の交差点を六本木ヒルズ側にわずか数歩進んだところ。築浅の建物らしく、視認性の高いワイドなガラス張りの路面区画を携えたこの建物を見つけた。
SPACE
募集は建物の顔として、しっかり印象的な1F路面区画。室内は、アートギャラリーとして利用されていた内装の居抜きの空間になっている。モルタルの床に白い壁と天井といったシンプルを追及した内装。現在そこに作品は飾られなくなってしまったが、どんな作品も際立たせて、より鮮やかに魅力的に魅せられそうな気持ち良いほどニュートラルな印象。そして、空間の造りからは、様々なアートに柔軟に対応できるフレキシブルさや、作品のことを大事に考えて作られたようなスマートな優しさも感じられる。
ギャラリー用に作られた空間故に、働くにあたって、ちょっとした工夫や最低限の設備投資は必要になるが、道路側一面に広がったガラスは、気持ちよさとともに空間と街の近さを体感させてくれる。オフィス街にあり、忙しなく車や人が行き交う六本木通りに面していつつも、周辺のビジネス街の少々ピリッとした印象とは、良い意味で異なる時間軸にいる様な、落ち着いた時間も過ごせる良質な空間だった。
HOW TO USE
本来であれば、道路に向けてこれだけワイドなガラス面を有しているなら、否が応でも目を惹く外へ向けたショールームやショップなどのイメージをしやすいだろう。しかし、実際にこの空間に入って思うのは、それとは真逆の感覚。元ギャラリーというだけあって、真っ白なハコとそこに展示される作品への没入感を感じられる造りになっているのだ。そんな空間であれば、働く際には、意外にもしっかりと仕事に集中できる様に思えた。
作品だけに焦点を当てるため、抑えめに配置した照明も、しっとりと落ち着いた時間の流れを感じさせてくれるし、外へ向けた展示壁のおかげもあって、外部からの視線が気になりすぎず、それでいてしっかり明るさも確保されている。集中しやすい要素が多く、ここで過ごす時間にのめり込みすぎて、「精神と時の部屋」とでも感じられる様な、ここにはここだけの時間の流れがある感覚があった。
元々は外からは丸見えの空間だが、敢えて内側に向けた空間。ここなら、マイペースにしっかりと集中し、充実した時間を過ごすことができる気がした。
EDITOR’S EYE
もちろん、今の状態のまま利用するなら、仕事に集中して取り組むという利用もアリだが、ワイドなガラス面を活かした使い方を否定しているわけではない。スケルトンでの引渡しも可能であるため、今の印象とはガラリと変えて、外向きな利用方法もしっくりくるだろう。そんなバリバリ外交的な利用の想像がついた方もぜひお待ちしてます。