渋谷オフィス|渋谷駅近天高3.2m空間
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LOCATION
MIYASHITA PARK前の明治通りから青山通りへと続いている美竹通り。渋谷駅に程近いこの通り沿いも再開発や建て替えが進んでいて、東京都児童会館や渋谷区役所の仮庁舎があった跡地は、2027年の竣工を目指して、大規模な工事もスタートしている。周辺のビルも新陳代謝が活発で、ガラス張りの若いビルが多く立ち並び、サバサバとして見えてしまう。そんな通りの中腹あたり、今年100周年を迎えたマヨネーズで有名なキューピー本社ビルの向かいに、レトロな風貌が妙に安心感を与えてくれるこの建物を見つけた。
SPACE
人気のカフェ「MOJA IN THE HOUSE」が2Fに入居するビルのオフィス区画。募集の6F区画は、78坪の面積を確保したワンフロアの空間だ。細長い台形の様な少々特殊な形状の空間ではあるが、真っ白に塗装されたスケルトン天井は3.2mと高く、色のおかげも相まって、なんだか広く明るく感じられる。北東側ではあるが、美竹通りに向けては一面が窓面になっていることもあり、現在は工事中の空き地の先には、新宿方面のビル群まで望める期間限定の眺望も楽しむことができた。そんな印象の良さを内包しつつも、床材がスタンダードなタイルカーペットである点は、少々の勿体無さは感じてしまうが、裏を返せばその分まだ良くなる余力を残しているとも思えた。なぜかどデカいダクトが梁下を跨いでいることで、一部2.2mと天井が低くなっている箇所があったりするが、それもまた愛嬌。
トイレなどの水まわりもエレベーターの裏側にまとめられていたり、ストレージにも使える小部屋も備わっていて実用性も◎。レトロなビルの意外な使い勝手の良さやポテンシャルに、まだまだ現役で活躍できるベテランの意地を感じる空間だった。
HOW TO USE
100年に一度と言われる再開発が続いている渋谷エリア。大規模な超高層ビルだけでなく、それに呼応するかの様に、周辺でも古ビルの建て替えが行われている。しかし、建替えが行われた後のビルは、似通ったガラス張りの味気ないビルになることが多く、なんだか少し寂しい気持ちになってしまうのも事実。そんな中で、このビルの様に現役を続行し、パッと見でわかりやすいわけではないが、ジワジワその良さを実感していく様な「いぶし銀」なビルに、心惹かれる人は少なくないのではないだろうか。かく言う私もそんな内の一人。そんなビルだからこそ、室内に入った時のギャップであっと驚く様な空間に仕上げて利用してみたくなる。まず初めのテコ入れとして、床材の変更は必須だろう。味のある木材を敷き詰めた床にしてみたり、一転して綺麗な印象のタイルなどもありだろう。2Fのカフェの様にヴィンテージの家具や照明なども取り入れつつ、インテリアに拘ってみたり、シンプルなスケルトンベースの空間に仕上げるのも良い。
ベテランビルならではの気の利いた仕様に加え、造りこんだ内装とともに、周辺の真新しいビルにも負けない満足感で働いてみて頂きたい。
EDITOR’S EYE
1979年築のビルではあるが、しっかり耐震補強工事も行われている。さらには水まわりなども一新されていることもあって、痒い所にもしっかり手が届く安心感を感じて頂ける気がした。