南青山ショップ|カフェ居抜き1棟ビル
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LOCATION
表参道のみゆき通りと並行にある裏通り。細い路地とは思えぬほど、賑やかな印象があるのは、ブルーボトルコーヒーやキルフェボンといった人気店に加え、東京を牽引するようなセレクトショップも多い洗練されたファッションエリアでもあるからだろう。そんな通りを進み、Maison Kitsuneの角を折れたところ、このエリアでは比較的珍しい、バッチリメイクの外観が特徴的なこの建物を見つけた。
SPACE
以前までは韓国系のカフェが入居していたこの建物。現在はその居抜きということもあって、室内もしっかりおめかしした個性的な空間で待ち構えていた。
全体としては、ベージュを基調とした柔らかい色合いが女性的な空間がベース。1Fは、商品は無くなってはいるが、丸くくり抜いた壁の棚やゴールドの枠の大きな鏡に、象徴的なL字型のカウンターなど、そこら中が写真スポットというばかりに、ある種スキのないほど作り込まれていた。2Fはというと、天井にシャンデリアの様な個性的な照明が2つ存在感を放っているが、1Fに比べると比較的さっぱりとした印象。とは言っても、床も壁も天井も1Fと同じクラシカルな装飾の名残を残し、仕切りのない構造と合わせて空間の連続性を感じられる。3Fは元キッチンのため装飾はされていないが、最上階で陽もよく差し込む明るさと気持ち良さがあった。
店舗として完成度高く造り込まれているため、その分個性もしっかり感じられてしまうが、天井の高い1Fや路地に面したポジショニングなど、見せ方の工夫次第では、大きく変貌を遂げそうな空間だった。
HOW TO USE
前入居者のカフェの内装がしっかり残されているため、現状を活かしつつ、という利用は正直言ってかなりハードルが高いだろう。しかし、この内装の状態そのままではなく、オーナーの方で一部撤去などは相談できるそうなので、ガラッと印象を変えるレベルで思い切った改装をするのも良さそうだ。路地沿いにあるものの、路面から少々セットバックし、尚且つ3段ほど下がったポジショニングもあって、装飾がなくなると謙虚で控えめな印象にも思えるこの建物。そんな立ち位置を考えれば、店舗であってもオフィスであっても、内装や外装は極力シンプルに仕上げ、家具や什器など、こだわる部分には手を抜かない、そんな空間がよりしっくりくるかもしれない。南青山というエリアで、ファッション感度の高いセレクトショップなども近い立地。全面に主張を押し出すのではなく、一歩引いた場所で静かに佇む。そんな謙虚さもこのエリアだからこそ、よりエレガントな姿勢として感じられる気がした。謙虚でありながら、芯の強さを感じるエレガンスを身にまとい、このエリアで輝いてみて頂きたい。
EDITOR’S EYE
今回、タイトルには某有名ラグジュアリーブランドの有名なデザイナーの言葉を引用させて頂いた。この言葉は、ファッションに限らず、日々の立ち振る舞いや言動など、どんな場面でもちょっと心のどこかに置いておきたい、そんな個人的に好きな言葉の一つだ。