恵比寿オフィス|3面採光のセミスケルトン空間
EDIT
>>LOCATION
恵比寿駅から中目黒方面へ駒沢通りを歩いていく。恵比寿南の交差点を超えるとアーケードが途切れ空が広くなり、人通りが減ることも相まって、途端に開放的な雰囲気になるのはいつものこと。そのまま少し先のセブンイレブンを過ぎ、南側へ向かって伸びるゆるやかな坂を上っていくと、まるでこちらを待ち構えていたかのように建っているこのビルがあった。
>>SPACE
募集区画の2Fには新築当初からクリニックが入居していたが、2024年12月末をもって、30年以上の歴史に幕を閉じたそう。長く続けられたのも納得で、2Fはこの区画だけということもあり、3面採光の恩恵をたっぷりと受け、どこにいても明るく気持ちの良い空間が広がっていた。
基本的には荒々しさも感じるスケルトンの状態であるが、石膏ボードや配線、トイレ、ミニキッチンなどは次の入居者のために残してある。そのまま活用できるようであれば有難いお土産だ。正直、梁下はそこまでの高さはないものの、開口部多め、明るい雰囲気からか圧迫感を感じることもない。また、冷静に考えれば、スケルトンなので手がかかりそう、、という考えが先行してしまいそうな空間ではあるが、そんな気持ちすらポジティブに転換してくれる“気の良さ”がここにはあった。
あらためてではあるが、空間にとって大事なものは、その完成度ではなく、そこにある“気の良さ”ということを感じさせてくれる空間だった。
>>HOW TO USE
玄関と水回りを中心に、ゆるく3つのスペースに分かれているような作りになっている。そのいずれにも柔らかな光が差し込み、よくありがちな空間の場所によっての格差のようなものとは無縁の空間。少々歪な形状を活用して、きっちり空間を仕切ることはせず、執務・来客・休憩スペースとゆるやかに分ける。そうやって、風通しや、明るさを閉じ込めない活用方法がいい気がした。あえて造作などを施さず自由度を残せば、年に1回、大掃除を兼ねて配置換えをしてしまうなんてのも楽しいんじゃないか。
良い意味でレイアウトの最適解がなさそうなので、前入居者同様、自分たちを飽きさせず、長く続くオフィスを作り上げてもらいたい。
EDITOR’S EYE
1Fの一部や3F・4F等、オーナーが利用している区画も多く、正直に言えば不特定多数の出入りがある業態はあまり好まれないため、通常のオフィス利用がベター。また建物には平置きの駐車場もあり、そこまで大きな車は停められないが、区画と合わせて借りても坪単価19,000円(税別)程度というのも忘れてはいけないポイントだ。