新宿御苑前オフィス|御苑の緑を望むオフィス
EDIT
>>LOCATION
この建物があるのは、明治時代の代表的近代西洋庭園である新宿御苑の目の前。新宿御苑前駅からも徒歩1分の好立地であるが、路面店の少なさがそうさせているのか、駅前の旧甲州街道に比べると、この建物がある通りは、静かで明るく落ち着いている。犬の散歩をしている人が定期的に通るなど、”新宿”の中では異分子のような独特なエリアで、太陽の光をふんだんに浴びながら、このビルは立っていた。
>>SPACE
今回ご紹介する区画は、1963年築と還暦を過ぎたベテランビルの3F部分。この空間の主役は、何と言っても新宿御苑の緑を望むことができるこのロケーションだ。南側にある窓とほぼ同じ目線くらいの高さに緑たちは位置しているので、陽は燦々と差し込み、窓先は一面緑といった感じでかなり気持ち良い。また、1フロア1テナントという点は特別感があって嬉しいが、共用部に男女別トイレが用意されていることも、小さいながらも重要なポイントだろう。空間自体を改めて見ると、主役は申し分なくとも、脇役の実力がやや追い付いていないのが勿体無いと感じる。タイルカーペットに白い蛍光灯、と一般的なオフィス仕様になっているため、床を剥がして白熱灯のスポットライトにして、雰囲気のある空間を意識してアレンジしてみれば、実はそれだけでもかなりおしゃれな雰囲気になるだろう。主役がしっかりしている分、それを引き立てる脇役や全体的な演出など、その想像を自然と膨らませられるワクワクするような空間だった。
>>HOW TO USE
想像を膨らませるにあたり、気になってしまう点としては、新宿御苑側の窓があまり大きくなく、そして、奥行きのあるコの字型の空間ということもあり、どうしても緑の恩恵を受けられるのが限定的になってしまうということだろうか。間仕切りや個室を作り込んだ場合は尚更のこと。もちろん、現状の雰囲気から色っぽさを空間に加え、仕切りなどを作らず大きなワンルームとして利用するというのもこの空間を活かすシンプルな使い方ではあるが、ここはある程度割り切って、窓際の特等席はみんなのものと考えるといいだろう。固定席はおかず、あえて空けて全員が使えるラウンジのようなスペースにしてみる。とことん仕事に打ち込み、煮詰まった時、打合わせの時、休憩の時、プロジェクトの打ち上げの時、と様々なタイミングでみんなが緑を楽しめる空間を作っておいて、外に行かずともオフィスの中の小さい公園のように過ごせれば、普通のオフィスではなかなか実現しにくい肩の力を抜いた付き合いもできるのではないだろうか?
EDITOR’S EYE
繰り返しになってしまうが、主役である窓を引き立てる床と天井に少し手を加えてあげれば、非常に満足度の高い空間が出来上がるはず。坪単価や駅徒歩といった数字的な魅力に、ぜひとも雰囲気を加えてあげて欲しい。