松濤SOHO|レトロモダンな戸建物件
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>>LOCATION
渋谷区の高級住宅街として有名な松濤エリア。高い塀で囲まれた豪邸が立ち並び、車通りや人通りは少なく、ゆったりとした街並みを形成している。それでも、山手通りを駒場東大キャンパス側へ横断すれば、同じ松濤でありながら、どこかホッと肩の力を抜いて過ごせそうな住宅地へ景色は変化する。所狭しと戸建てが並ぶそんな松濤の住宅地で、こぢんまりと佇む可愛らしいこの建物を見つけた。
>>SPACE
募集は、1977年築の3LDK +ガレージが付いた戸建て。玄関扉の先の2Fには、白で塗装されたレトロ感がありながらも清潔感溢れる壁と、ニスが塗られイイ味を醸し出す無垢材のフローリングの空間。そこに漂う雰囲気に、一瞬にして心を掴まれた。さらに、キッチンのある3Fは、同じテイストのフローリングに加えて壁には木板が貼られ、欧州の片田舎にあるような世界観が漂うとっておきの空間。日当たりが良く、それによって空間の質感が十二分に体感でき、心地良さに酔える空間と言っても過言ではないだろう。そして、そんな雰囲気のいい空間を楽しんだ後に待っていたのは、周辺が低層住宅地となることから、遠くまでスーッと抜けのいい眺望を味わえる屋上だった。
所々に約半世紀という時間の経過を感じさせる部分はありながら、それを含めレトロモダンを思わせる世界観に魅了され、思わず長居したくなってしまうほど、居心地のいい空間だった。
>>HOW TO USE
当然ながら時間が経過すれば、物は劣化するが、それは必ずしも悪ではないということを再認識させられる物件だった。確かに年代物感は否めないが、時の経過を感じられるからこそ、この室内の世界観に納得感が増し、魅了されるのだと思う。さらにもう1つ経年劣化が良い方向に働いていたのが無垢材のフローリング。ニスが禿げた箇所や湿気で反った箇所、傷によってできた凹みなど、フェイクじゃないから出せる味であり、足の裏からもそれらを楽しむことができ、心地よさすら感じられた。
松濤という中でいえば、この建物はとてもコンパクト。でも、だからこそ日々小さな変化にも気がつくことができる気がしてならない。ここで起こっている経年劣化ならぬ、経年優化を存分に味わい、自分らしく働く。とても魅力的な毎日が過ごせると感じてこないだろうか。
EDITOR’S EYE
直近の入居者はアパレルで、アトリエ兼店舗として使用されていたようだ。ヴィンテージアイテムを買い付けてリメイクする商品を得意とし、ブランドのコンセプトと建物の雰囲気がどことなくマッチしているようにも思え、ここを選んだ理由がなんとなく分かる気もした。