宇田川町店舗・オフィス|天井高4m超のインパクト空間
EDIT
>>LOCATION
55年の歴史に幕を閉じた東急百貨店本店。その跡地は、現在解体工事が進み、少々寂しさが感じられるが、数年後にはホテルやレジデンスを複合した高さ165mの新施設が建設予定。また賑わいが戻ってくるのも楽しみだが、建物がなくなったことで、期間限定で周辺に広々とした空を提供している現状も、意外なほど気持ち良く、悪い気はしないだろう。そんな場所からセンター街へ抜ける道の角に、多数の店舗の看板を掲げたこの賑やかな建物を見つけた。
>>SPACE
ファミマ、ガスト、すしざんまい、そして手前の建物には賑やかなラーメン屋までオープンし、人も車も多く、なかなか騒々しい一角にある建物。大きく口を開いた様なエントランスにある直接階段から募集のB1Fへ。
室内は以前の焼き鳥屋が退去し、設備から内装まで全て取り払ったフルスケルトンの状態になっていた。約160坪の面積を確保し、天井高は4.1m〜最大4.6mと圧巻のスケール感。ちょっぴりひんやりとした空気感と、先ほどまでの渋谷の街の騒々しさをすっかり忘れてしまう様な静けさが良いギャップを感じさせてくれる。スケルトンにされたことで現れた荒々しい床や壁の質感や物々しいダクトなど、狙って出せない雰囲気も男心をくすぐるポイントだ。現在は仮設の照明が設置されているが、その統一感のない蛍光灯や白熱電球によって、発掘途中の洞窟の様な妙な色気を醸し出していて、しっかりこの空間に心を掴まれてしまった。
>>HOW TO USE
正直なところ、コンビニやファミレスなどが主張する外観によって、室内に入るまでは、この空間への不安は強めかもしれない。しかし、逆に言えば、エリアも含めたそんな雑多な印象からのギャップがあるからこそ、この空間の魅力は鰻上りに増しているとも思えた。それならば、この空間を作り込むにあたっては、意図的にかなりシンプルに仕上げて、そんなギャップをもっと強く感じられる様な空間にしてみてはいかがだろうか。床や壁などの荒々しさも良いが、綺麗に仕上げ、極力モノは少なめに。室内で流すBGMもさりげなく感じられる様な優しい音楽をチョイスしてみる。そんな使い方であれば、オフィスに撮影スタジオやイベントスペースなどを併設し、自分たちの作品を撮影から展示までワンストップで届けたりと、クリエイティブを追求する空間としても良さそうだ。万が一イベントでたくさんの人が集まりすぎたとしても、キャパ的にも、少々騒がしくなっても、この建物であれば受け入れてくれる懐の深さも持ち合わせているので安心だ。
建物としては店舗ビルで、ガヤガヤととても騒々しい場所。対して、意図してシンプルに仕上げた迫力ある空間。そんな場所へ足を踏み入れた際のギャップによって、来訪者の想像を悠々と超え、空間の魅力にどっぷりと浸からせてみて頂きたい。
EDITOR’S EYE
建物的には24時間の利用も可能なため、遅くまでやっている飲食店も多い。仕事終わりの一杯や深夜まで作業をしていて、小腹が減っても一通り揃っているのはありがたいかも。