恵比寿オフィス・店舗 | 五差路に立つ個性的なビル
EDIT
>>LOCATION
住みたい街、おしゃれな街として名高い恵比寿。駅周辺には商業施設や飲食店なども多く並び、昼も夜も休日も、常に賑わっている印象だ。華やかなオシャレ感だけではなく、古くから培ったこの街の哀愁感のようなものも、また魅力の一つと言えるだろう。そんな恵比寿駅を背にして、山手線の線路と平行にして伸びる商店街を進む事3分ほど。5本の道が交わる五差路の一角に、この個性的なフォルムの建物があった。
>>SPACE
バブルの申し子と言っても過言ではない、独特なデザインのテナントビル。現代ではなかなか建てられることもなさそうなこのクセ強めなデザインだが、それがレトロ感もあって、一周回ってむしろ可愛くすら見えてくる。
今回紹介するのはこの6F部分。室内は2023年2月にリニューアル工事が完了したばかりで、仕様は今どきなスケルトン風のオフィス空間。その形はやはり個性的で、扇形に膨らんだような形と、建物を支える太い丸柱がなかなか太々しく立っている。正直、かなり難易度が高めな空間と言えるだろう。しかし、シンプルで無駄のない形が好まれる現代的な商業ビルにはない、個性と造形をバッチリ兼ね備えているところが面白く、斜め上を行く感じが個人的にはかなり好きだ。
窓からも陽がよく入るし、窓の先には五差路もいい感じに眺められて、眺望も良好。外には小さいバルコニーも付いていて、簡単な休憩などもできるだろう。クセは強くなかなか扱いも難しそうな空間だが、愛嬌というか、憎めない可愛さがこの空間にはあった。
>>HOW TO USE
はっきり言って、この空間は無駄が多い。形も歪で、使い勝手もかなり悪そうだし、おまけに変なところに柱まで。きっと間取り図を見ただけで気持ちが離れてしまう方も多いだろう。そんな難易度高すぎる変則的な空間を、どうすれば面白く使えるだろうか。
例えば存在感強すぎるこの柱を芯に、造作の自由曲線で描かれたテーブルを配置してはどうだろう。大きく、ふわっとした柔らかいテーブル。それによって、今は邪魔でしかないこの柱も、空間の中心的役割を果たして、さらにこの歪な形と曲線がうまく調和する事で、空間全体がうまくまとまりそうだ。また、今は中途半端な色味の床や天井の照明。これらもいっそうの事、全て真っ白に変えて空間を一度リセットしてみてもいいんじゃないか。真っ白な姿になる事で、この変則的な形もより不思議さが増して、その中にただ家具を置くだけでも、なんか面白みのある世界観を備えた空間を創れるだろう。
この難易度が高い空間をどううまく使うか。そんな解決策を探るのも、クリエイティブの本質であり、最大の楽しみであるとも思う。そんな攻めの思考をお持ちの方。その想像力を爆発させて、創造的な空間作りに挑んでみるのはどうだろうか。きっとこの空間は楽しませてくれるはずだ。
EDITOR’S EYE
身なりはオフィス仕様だが、元々テナントビルなので、店舗での利用も可能。せっかく今の姿に改装したばかりだが、割り切ってガラッと改装しちゃってもいいかもしれない。駅からも近いし、特徴的な交差点にある、見た目も面白みのある物件だった。