虎ノ門オフィス|築60年の木造1棟
EDIT
>>LOCATION
今回の建物は、再開発による街並みの変化著しい虎ノ門エリア。少し前ではあるが虎ノ門ヒルズのオープンに新駅の完成など、何かと話題の尽きない場所と言えるだろう。
港区アドレスの中では、どちらかと言えばビジネス街といった固めの印象の場所ではあるが、ヒルズの完成により虎ノ門横丁など話題性のある店舗も増え、近年少しずつイメージも変わりつつある。そんなエリアの変わりゆく街並みの中で見つけたこの建物。もうひと目見た時からその佇まいに吸い込まれてしまった。
>>SPACE
建物は、築後約60年を経過する木造家屋。シンプルかつレトロ感あるその面構えから滲み出る雰囲気だけで、この建物が只者ではないことは容易に窺い知れた。
以前はフラワーショップとして利用されていたらしいこの建物。路面区画となる1Fに関しては、味のあるコンクリートの床に、木材剥き出しの天井。現状はシートで覆われているため分かりにくいが、大きなウィンドウも確保しており、外部から思わず覗きたくなる空間であることは間違いないだろう。やや角度の急な鉄砲階段を登った先の2F区画は、前テナントの居抜き状態の事務所区画。屋根なりの勾配天井については、最大高さ4m。良い色合いに経年を経た剥き出しの木材からは、なんとも言えない色っぽさが漂う。設備は残置物として現況での引き渡しとなるが、使い勝手も非常にイメージしやすい状態。個人で借りるわけではないのに、すぐにでも手を上げる企業が現れるのではと、この建物の魅力の強さに焦りにも似た感情が湧き上がるほどだった。
>>HOW TO USE
この建物の特筆すべき部分は、単に古ぼけているわけでなくレトロな表情を残したまま、スケルトン仕上げの天井にコンクリート床など、どこか今っぽい仕上がりにアジャストされている点だろう。再開発による変化著しい街並みに古くから存在しつつ、現時点に至っても違和感を感じない程度に、雰囲気良くアップグレードがなされている。
顔の良い1F部分に関しては、店舗はもちろんオフィス内のフリーデスクや会議室として、外部とのつながりを感じられるコモンスペース的に利用し、2Fはプライベート性の高いワークスペースとして。多くのオフィスワーカーが足早に行き交う立地にありながらも、時間の流れが緩やかに感じられる様な室内の雰囲気は、どんな利用方法だとしてもこの建物でしか味わえない魅力となるはずだ。
変化の早い場所にありながら、肩肘張って変化を拒むことなく、流れにうまく身を委ねることで生き残ってきたこの空間。経年の味やストーリーはうまく受け継ぎつつ、追加であなた色に染めることで、この建物はさらに魅力を増していく。そんなことを考えていたら、今はもうこの建物のことしか見えなくなっていた。
EDITOR’S EYE
外観をひと目見て、半ば衝動的に現地に赴いてしまった。ちょうどランチタイムで外部の人通りが多い時間帯だったため、1F部分の外部とのつながりを撮影できず残念。。