南青山オフィス・店舗|ウッドデッキバルコニー付 1-2Fメゾネット空間
EDIT
>>LOCATION
骨董通りから一本入った裏通り。青学と南青山5丁目住所の間に挟まれたこの細い通りは通称アイビー通りとして愛されている。一方通行で、青学と面していることから人通りは多くとも商業性は控えめ。いつ通っても居心地の良い穏やかな印象を感じる。そんなこの通りの印象を決定づけるのは通りの真ん中あたりの名建築の存在が大きいだろう。クラシカルな色っぽい外観、欅や、桜など敷地から溢れるように緑が鬱蒼と繁る。今回の物件は、そんな存在感ある建物のお隣さん。いいポジションに位置しながら、主張はちょっと強めな物件だった。
>>SPACE
穏やかで、厳かさすら少々感じるアイビー通りに、この物件のカジュアル&ポップなピンクの外観は、かなり異質な第一印象。そして、室内は元アパレルショップの退去状況そのままの荒くれ状態。決して印象の良い状態ではないが、かなり“うずうず”する空間だった。
うずうずの理由は、なんと言っても絶妙な世界観が漂うアイビー通り沿いの路面区画の存在。この通りは、周辺の表通りほどの華やかさはないが、そのしっとり感はどちらかというと玄人寄りな通りとも思える。そんな通りに開口部が大きく設けられた1Fはなかなか希少だ。また、2Fに上がれば、変わらぬ荒くれた室内の状況にも関わらず、大きめのテラス越しに見える建築家山田守氏(京都タワー・日本武道館などを設計)の元自邸と緑が映える。アイビー通りに似合う緑豊かでクラシカルな風景を室内からも感じつつ、この空間をどうアレンジするか、テラスの活用とその雰囲気をどう生かすかと、想像し始めると止まらない。そこらじゅうから漂うポテンシャルは、現状の荒々しさを忘れさせるくらいにこの空間を魅力的に輝かせてくれていた。
>>HOW TO USE
写真からは“荒くれ感”がふんだんに感じられるかもしれないが、冷静に見てみると実は意外と扱いやすいことに気がつく。エアコン、トイレ、打合わせ用の個室など、ベースとなる設備と仕様は揃っている状況。もちろん前入居者の残置物という前提ではあるが、この空間を更生させるのは意外とすんなりいきそうだ。
さらに現実的なところで言えば、この立地で路面とテラス付きのメゾネット空間と強力な魅力を持っていながら、控えめな賃料設定が嬉しい。決して“安い”というところまではいかないが、希少性とポテンシャルを掛け合わせれば、全然あり!と思う人も少なくないはずだ。
そう、この物件でついつい夢見てしまうのは、持ち合わせた魅力の割に意外と現実的な条件のバランスで、「この夢、手が届く!」感がめちゃくちゃある感じがしてしまうから。我々も自ら借りてしまいたいという気持ちもありながら、サイズ感の不一致で断念した夢、どこのどなたか横取りしていただきたい。
EDITOR’S EYE
個人的にはこの物件を検討する上で、お隣の“蔦珈琲”の存在も大きい。山田守氏の元自邸の1階に位置する老舗珈琲店。完全に外界と切り離された優雅さがある珈琲店は、ちょっとしたもやもやはすぐにリセットしてくれるだろう。