表参道オフィス|青山通り沿い原状回復不要空間
EDIT
>>LOCATION
場所は青山通り。表参道エリアという華やかなイメージとは裏腹に、意外にもレトロな建物が多く散見される。この通りでも存在感を放つAoビルの竣工が2008年、それ以降目立った新築ビルの台頭はないが、ついにポツポツと建物が解体された空地が登場し始め、新たなビルがこの通りにお目見えする日も近そうだ。
今回ご紹介のビルもまた、約半世紀もの間この通り沿いに立っている。隣に立つスパイラルに対抗意識を燃やし、まだまだ若いものには負けないと言わんばかりに、数年前にハイカラな意匠に衣替えしたイケイケなビルを見つけた。
>>SPACE
建物脇の路地にある入口からエレベーターで7F区画へ。真っ白なエレベーターホールにレトロな照明を灯したどこか可愛らしい共用部。その奥には前入居者の内装をそのまま残した空間が待っていた。
受付スペースを介して広がる室内は、個室を2つ備え天井がスケルトン仕様となった空間。天高は2800mmほどと高めで窓面も多いことから、高い建物に囲まれている外からの見た目よりも、意外にも閉鎖感はなく、むしろ開放感すら感じられた。そして、青山通り側の窓からは目の前にAoビル、真横にスパイラルとなかなか誇らしい立地であることを再確認できる眺望が備わっている。年季の入った水まわり設備とスタンダードなタイルカーペットの床こそ残念ではあるが、ペロッとカーペットをめくってみると、整ったコンクリートが顔を出す。素地の良さは十分。カーペットを剥がして利用するだけでも、さらに見違える空間になってくれそうな期待値の高さを感じられ、まだまだ現役バリバリで活躍してくれそうに感じた。
>>HOW TO USE
この建物を検討する上で1点お伝えしておくべきことがある。実はこの建物は建替が計画されているのだ。しかし、10数年前からそんな建替計画が上がっていながら、延期が続き、その間に所有者が変わったり、建替を諦めたのか部分的に改修工事が行われたりもしてきた。さすがにいよいよ感はあるが、そういう理由もあって、原状回復免除というラッキーな状態で募集が続いている。普通であれば、味気ないオフィス仕様に戻されて、建物自体の古さも滲み出てくるかもしれないが、ここでは前入居者がアレンジした空間を引継ぎ、次の入居者もさらに自分らしさを加える。そして、次へ、また次へと繋がるという良いスパイラルに入っている状態。募集ごとに面白みが加わるこの建物も、生涯現役でいることを望んでいる様。まだまだ建替は先、そんな風に信じて、原状回復不要という状況を思い切り楽しみ、気の済むまで空間を作り込んでみてはいかがだろうか。
EDITOR’S EYE
意匠を施した部分が建物半分のみということもあって、側から見ると細長いビルの様に思える。実はすぐお隣にあるコンパクトなビルの大きな存在感があって、足場が組めず半分のみの外装変更となった様だ。ちょっとしたトリックアートにも感じる建物で、室内に入ると意外と広いと思うのは私だけではないはず。