南青山オフィス | ライトコート付き素地良好空間
EDIT
>>LOCATION
表参道駅からは10分ちょっと。青山にある骨董通りから駒沢通りへ抜けていき、六本木通りを跨いで、もう少しだけ西麻布の閑静な住宅地を進んでいったあたり。これだけでもだいぶ奥まった立地なのに、さらに通りから一軒分奥まった先。青いモザイクタイルをアクセントに纏ったこの建物が、ようやくちらっと顔を覗かせている。正直アクセス面は便利とは言えない立地だが、そんなディープな場所までわざわざ来るだけの価値はある空間が待っていた。
>>SPACE
建物エントランスからは、さらに地下へ降りていくB1F区画。もう奥へ進むのはお腹いっぱいという感じだが、そこにある黒い鉄の扉を開けると、この空間がようやく現れた。
40坪ほどのワンルームに、1方向から多くの光が射し込むシンプルな空間。天気にもよるが、晴れた日にはこの窓だけでも全体を照らすだけの明るさがあり、刻一刻と変化する光の動きが、静かな空間へも柔らかな変化をもたらす。その窓の先には、広々としたライトコートへ出る事もできる。基本的にはここは共有部なので、専有使いとまではできないものの、気晴らしに外に出て休憩する程度は十分活用できるだろう。なにより絶妙に壁に囲われつつ、緑もあり、開放感もあるこのスペースがすごく気持ちよくて、ここに出られるというのもこの区画の大きな特権と言えるんじゃないか。
地下区画とだけ聞くと、どうしても暗い印象をもたれてしまう事もあるが、この空間はそんなイメージとは性質が異なる。いわゆる閉鎖感や圧迫感なんていうのはほぼほぼ感じないし、むしろ窓面が眩しいぐらい明るく、その先のライトコートも空間の一部のように続いていく。元々環境も静か住宅地なので、外の物音もほぼしなく、とても穏やかな雰囲気だけが漂う居心地の良い空間という印象が強く残った。
>>HOW TO USE
素地はいいのに、なんか垢抜けない人。この空間はまさにそんな感じだが、コーディネート次第でかなりよくなるだろう。だからと言って、大胆な改装までは必要ないと思う。例えば床はこのまま残しつつ、天井だけはスケルトン仕様に加工するぐらい。それでも印象はガラッと変わるはずだ。室内はあまり壁で区切らずに、このままのワンルーム空間の中にざっくりデスクを並べ、窓際には大きな打ち合わせテーブルをどんと置く。全体的にこだわりの家具や植物などを配置して、空間を柔らか〜く整えるぐらいでいいだろう。もちろん長くここに身を潜める覚悟で徹底的に作り込むのもいいが、キッチリカッチリとあまり決めすぎず、程よく力が抜けた感じがこの空間に雰囲気にも合っている気がする。そのぐらいの方が、気持ちよくすごせると思う。
南青山アドレスではあるものの、その奥地とも言える環境なので、正直アクセスのいい場所とは言えない。必然的に日中は籠っての作業が多いクリエイティブ企業向けになると思うが、そんな方々の創作意欲を掻き立て、狂ったようにいつまでも作業に打ち込める環境は十分提供できる気がする。この奥地まで来るだけの価値を、日々この空間で過ごしていく中で、少しずつだが感じて頂けるはずだろう。
EDITOR’S EYE
トイレなどの水回りは共有部なので、純粋にこの40坪という面積を使える作りも嬉しい。また、離れる分賃料もリーズナブルな設定なので、このあたりのバランスを考え、検討して頂ける価値のある空間だろう。