小伝馬町オフィス | 1棟リニューアルビル
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>>LOCATION
住所は日本橋小伝馬町。個人的には“昔ながらのオフィス街”というイメージが強かったこのエリア。しかし、近年、馬喰横山や人形町エリアから広がった穏やかなリノベブームによって、この街にある古い建物もいくつも再生され、少しづつだが街の雰囲気も変わりつつある。今回ご紹介する建物も新たなリノベ物件として加わった古い建物の一つ。馬喰横山駅、小伝馬町駅からそれぞれ4分ほどの、江戸通りからほんの少し奥へ入っただけでも急に穏やかになる環境に、周辺の中でも少し垢抜けたこの建物が現れた。
>>SPACE
空間デザイン会社の丹青社によって、リニューアル工事が完了したばかりのこの建物。外観自体は元のままを活かしつつ、サイン照明を設置した程度のようだが、それだけでも妙に今っぽさを滲ませる雰囲気がでていた。
今回ご紹介するのは、2F-5Fまでのオフィス区画。室内はシンプルなセミスケルトン仕様で、天井高はいずれも2.85Mと高め。ベースの仕様はどのフロアも同じだが、2-4Fと5Fでは間取りや雰囲気が少し異なる。最上階となる5Fは、17坪ほどの縦長の空間。入り口脇にはキッチンカウンターが置かれ、オフィスというより、どこかカフェっぽい作り。2方向の連続する窓からは光もよく入って、とても穏やかな雰囲気に包まれる空間だ。その他の2-4Fは、30坪ほどある手頃サイズな空間。5Fに比べると、光の入りは弱くなってしまうが、室内にできる光の明暗さが、妙にクールで、これはこれで魅力的に感じてしまう空間だった。建物の見た目といい、白く清潔感のあるエントランスといい、室内空間を含めて魅力的なリノベビルだった。
>>HOW TO USE
この物件のいいところは、全体的にニュートラルに仕上げられているところだろう。最近増えているような、変に内装が作り込まれた“クドい“リノベでなく、シンプルで、だれにでもすーっと受け入れてもらえそうな空間。ただシンプルなだけではない。例えばスケルトン床で問題になりがちなコンセント系を天井からひっぱれるように、あえて照明用とは別に配線ダクトを設置しているところなど、痒いところに手が届くといった気の回し方もうまい。次の移転はちょっとおしゃれなオフィスに。という方にも踏み込みやすそうだし、逆に自分たちで空間を作り込みたいんだ。という感性に溢れた方にも、室内ベースは整っているので、ここからどのようにもアレンジしやすいだろう。そんな持ち前のニュートラルさとマルチさを備えているこの物件。今、穏やかに進化を続けているこの小伝馬町エリアで、今後どのような使われかた、存在となっていくか、とても楽しみな建物がまた一つ生まれた。
EDITOR’S EYE
1Fにはデンタルクリニックが入る予定。建物の顔となる区画なので、その出来栄えの影響はかなり大きいが、工事中の姿を見る限り、ちょっと個性的なデザインで面白い雰囲気のものができそうだ。