代官山オフィス|個性派共用部の駅近スケルトン空間
EDIT
>>LOCATION
場所は代官山。急行が止まらない駅だからなのか、ゆったりと構えたこのエリアの持つ空気感の賜物なのか、駅前にも関わらず、比較的のんびりとした雰囲気がある居心地が良い場所だ。そんな駅前から八幡通りへと向かう。5年間限定で運営された複合施設TENOHA代官山の営業が終了し、ぽっかりと穴が開いた様な場所のすぐ隣。次に何がお目見えするのかを楽しみに待つ様に、この建物が立っていた。
>>SPACE
八幡通りと代官山駅側の2箇所に入口のある個性的な外観の建物。現在はB2F〜2Fの4区画が募集中だ。
それぞれのフロアは60〜130坪と比較的大きめの面積に加え、天井高も3〜4mと高く、縦にも横にも広がりを見せる空間。現状は仮の照明のみが設置された、何もないスケルトン空間ではあるが、その空っぽの状態の空間が出す雰囲気でさえも洗練された印象に感じた。何故だろうか、、、と疑問に思いながら、各区画を回っていると、ふとあることに気付いた。この建物は、地上階も地下階も、共用部であるエレベーターホールや廊下がやたらと余裕のある作り。さらに各区画からはその共用部に向いたガラス面が多い。そのおかげもあって、ただ広いというだけではなく、空間に奥行きが生まれ、周辺の雑多感を排除して建物内でうまく世界観が崩れない様に計算されていると感じる。そんな風に一見取り過ぎた“余白”とも思える共用部も、代官山エリアのゆったりとした空気感と合わさる事で、空間をより魅力的に見せる要素になっていた。
>>HOW TO USE
空間自体は天井が高く、スケール感などもあって申し分ない。そして、そこに組み込まれた“余白”としての共用部。この物件の共用部は、各区画を繋ぐためのスペースという概念ではなく、その先にある専有部の空間を生かす引き立て役として必要不可欠な要素だと感じた。そんな余白をうまく使いこなすことが、この物件を利用する上での鍵であることは間違いない。店舗としてもオフィスとしても、この各区画のスケール感を感じる雰囲気を損なわない様にというだけでなく、余白である共用部を感じられる様に、できるだけ仕切りを設けず、空間+余白を意識して作り込んでみたい。さらには、共用部という余白だけでなく、空間の中にも敢えて“何もないスペース”を設け、よりこの建物とエリアが醸し出すゆったりとした雰囲気を体現できる場所になれば理想的だ。
この建物は、代官山エリアにおいて必要な“スペック”の一つは、そんなある種の余白であると示してくれている様でもあった。
EDITOR’S EYE
この建物が立つ八幡通り沿いは現在いくつもの大型の開発や建て替えが行われている。そんな工事が終わった時に、また新しい流れを持った代官山エリアに変わっていくのも今から楽しみだ。