西麻布オフィス |新築ビル
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>>LOCATION
六本木通りに位置する、西麻布交差点。昼夜問わず多くの車、人がひっきりなしに往来し、忙しない時間が流れ続ける場所だ。そんな大きな動脈のすぐそばに見つけた今回の物件は、2020年8月竣工の新築ビル。このエリアの忙しなさや、多業種の店舗が混在する雑多な感じが災いしてか、ピカピカの新築にも関わらず、少し目に止まりにくい。通り沿いにひしめくビルのひとつとして、背景化してしまっているというのが正直な第一印象だった。しかし、一度この建物に意識が向けば、細微の美しさに目を奪われる。ブラックに統一された躯体と、一面に設えられたガラス壁が織り成すクールな雰囲気に、その先に広がる空間へと期待が膨らんだ。
>>SPACE
今回は、5Fの事務所仕様の区画と、その他フロア(今回訪れたのは6Fと7F)のスケルトン区画の2パターンの募集となる。外観の雰囲気そのままに、クールに振る舞っているのが5Fの特徴。白い壁とグレーの床を黒いサッシがピリッと引き締める、そんなモノトーン空間に、この建物らしさを感じて妙に納得できた。対してスケルトン区画に広がっていたのは、断熱材剥き出しの荒々しい空間。ただ荒々しいだけではなく、広く取られた開口部と約3mの天井の高さによって、心地良い開放感も生まれているのが印象的だ。両者異なるキャラクターだが、各階共通しているのが専用バルコニーの気持ち良さ。訪れた日はあいにくの天気だったにも関わらず、バルコニーからは青山霊園に茂る木々が緑の絨毯のように広がっているのが一望できて美しかった。そして、その向こうに見える高層ビルの数々に、きっと天気の良い日の抜けの良さは抜群だろうと想像が湧く。外の忙しなさから切り離された、静寂に包まれた空間で眺めるこの景色は、スーッと心が落ち着いていくような、不思議な魅力を持っていた。
>>HOW TO USE
5Fの事務所仕様区画も、その他フロアのスケルトン区画も、利用するならばやはりバルコニーの気持ち良さを存分に活かしてほしい。スケルトン区画は店舗もOKという区画だが、飲食店のテラス席として使うには少々手狭だし、正直店舗ではバルコニーを活かしきれない気がする。なので、残念ながら外からあまり目に止まらないという性質も理解して、ここはオフィスとして割り切って利用すると良いかもしれない。オフィスなら、休憩の場としても、ちょっとしたワークスペースの場としても、仲間だけでゆったりと外空間を活用できる。室内も、窓に向かってソファを配置するなど、外を意識したレイアウトをすることでより魅力的な空間になるだろう。とにかく、この物件のスッとするような見晴らしの良さは言わば真打レベル。大通りに建っているのに知る人ぞ知る物件になってしまうのは本人(本建物)は不本意だろうが、鋭い嗅覚を持った入居者に見つけ出してもらえると思えば、それまで息を潜め続けることになっても本望かもしれない。
EDITOR’S EYE
各フロア、多少の間取りの違いはあるが、ほぼ同じ面積。いちから作り込めるスケルトン空間を取るか、すでに完成している事務所仕様区画を取るか、入居者には悩みどころだろう。バルコニーの形もそれぞれ少しずつ違うので、ぜひ具体的な使い方を想像しながら、区画を選ぶところから楽しんで欲しい。